15話 ドラゴンが・・・

 山頂近くまでやって来ました。辺りに『Guwooooo━━━━━━━』とお腹に響く大きな低い音が辺りに響き渡ります。

 どうやら、こちらに気がつき威嚇をしているようです。


「ユーフィアさん。ドラゴンに気がつかれていますが、どうされますか?」


 岩の影からドラゴンを見てみます。全身を青い鱗で包まれ、背中から大きな翼を広げ威嚇している、全長8メル程の若いドラゴンのようです。


「個人的にはなるべく素材を傷つけたくないので、先に翼を落としておきたいのです。」


「ここに来る前に、言った通りドラゴン用の装備はしていません。」


「そんな、クストさんとルジオーネさんに貸して差し上げます。」


 そう言いながら取り出したものは偶然の産物でできた空間すら斬る魔剣です。その、性能をじかで感じたことのあるクストさんは一歩下がります。


「丁度、2本ありますので、貸します。これは空間まで切ってしまう魔剣なので、取り扱いは注意してください。そして、絶対に返してください。」


 ごくり。と喉を鳴らしながらクストさんが受け取ります。そして、鞘から剣を少し抜き直ぐに元にもどしました。


「これ、スッゴク魔力が吸われるのだが?」


「え?そうですか?私はそんな感じしないのですが。」


 ルジオーネさんもクストさんと同じように剣を少し抜き元に戻します。


「ユーフィアさん因みに魔力量はいくらですか?」


「普通に500万ですよ。」


「500万」


 クストさんがうわ言のように呟きます。


「ユーフィアさん、それは普通といいません。一般獣人の平均は50です。一般の獣人の多い人でも3000です。はっきり言って、この剣一振りすれば、魔力のほとんどを吸いとられてしまいます。」


「そうですか。では一発勝負ですね。お二人で同時に翼を落としてくれましたら、私が仕留めますから」


「「はあ。」」


 二人揃ってため息をつかれました。そこまで、一緒にしなくてもいいですよ。


 そして、私は改良版の電磁誘導砲レールガンを取り出します。前回の物より2倍大きくし、砲身の長さを確保したものに改良したものです。前回のものは加速力が足りず、ぶれてしまいドラゴンの素材の大半が悲惨な状態になってしまったのです。

 ですので、レールである砲身を2倍にしてみました。


 二人に準備が出来たことを合図を送ります。ドラゴンは相変わらずこちらに向かって威嚇をしてくるだけです。


 二人が駆け出したと思ったら消えました。あれ?っと思っているとドラゴンの翼が同時に胴体からゆるりと離れていきます。な、何が起こりました?

 ドラゴンの「Giyaaaa━━━━━━」と言う悲鳴と二人が戻って来るのが同時でした。戻ってくるなり『キッツい』といいながら倒れていますが、もしかして、二人で倒せたのでは?


 ドラゴンが背から血を流しながらこちらに向かってきます。ゴーグルを起動させ、電磁誘導砲を構えます。魔力を一気に注ぎ込み、ドラゴンの首に焦点を合わせ引き金を引く。振動と共に加速した弾体が発射され、ドラゴンの首に着弾。

 よし、と思った瞬間ぶっ飛んだ。ドラゴンの首が着弾点から上がぶっ飛んで無くなった。そして、隣の連なる山の頂上が欠けた。

 何これ、こんなはずではなかったのに!なぜ!

 倒れていた筈のクストさんとルジオーネさんはドラゴンの惨状と山の状態を見て、呆然と立っている私から距離を取るのでした。

(前回はユーフィアの精神状態が安定してなかったために魔力の揺れがあっただけで、本体には問題はありませんでした。)



 あれから2日経ちました。

 あの後、ドラゴンの本体と翼を回収し、クストさんにドラゴンの目を一個探してもらい帰ってきました。


 そして、ドラゴンの目のレンズを使って出来上がったのがこのカメラです。

 動画用のカメラを作ったときドラゴンの目のレンズが一番写りが綺麗で魔力の親和性がよかったのです。

 しかし、そんなものをサウザール公爵様に渡すとドラゴン狩りが行われそうなので、ゴブリンの濁った目のレンズにしておきました。少しピントがあっていないぼんやりとした動画画像になりましたが、サウザール公爵様は満足していましたので、良かったです。

 動画用はサウザール公爵様に権利を渡してあるので、こちらは静止画用のカメラです。記憶媒体に保存用の魔石を用いて、専用のプリンターにセットすれば印刷できると言う物を作ってみました。

 やっぱり結婚式と言えば写真を撮りますよね。

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