30話:『夢』



ゴーン。ゴーン。ゴーン。





協会から鐘の音が響く。

今日は、勇者とアナスタシアの結婚式。

うちがせっせと準備したのさ。

最高の1日になるに決まっているわ。




ピーチ:「出てきた!スー見て!!」

スー:「見てるよ。まるで絵画を見ているようだ」







協会に花嫁と花婿が現れた。



左側には祝福するゴブリン達が座っている。

スーに私。3賢者に緑子。

そして、和睦に感化されたゴブリン達。



右側には人間。

王様に大臣。親類の人々。

後は抽選に当たった人達。




神父が祈りを捧げ、

誓いのキスをする。






スー:「これが幸せの1つの形か、、、」


花婿と花婿は教会の外へと歩いて行く。





移動の時間だ。





外に出ると、

ドラゴンが祝福の炎を空めがけて飛ばしていた。

花火みたいでとても綺麗だった。




ピーチ:「あらあら、張り切っちゃって」




うちも負けじと魔法を放つ。



空からキラキラとしたものが、

地面にゆっくりと落ちていく。





スー:「綺麗だ。とても綺麗だ」

ピーチ:「うちの魔法で出来ないことなんてないんだからね」







外にも沢山のゴブリンと人間達がいる。

このままパーティーの始まりだ。



豪華な料理とお酒が待っている。



花嫁と花婿は挨拶回りを始めている。







その姿を見て、うちは、うちは、。




ピーチ:(良かったな勇者。明るく笑えるようになって)

















、、、


、、、、、










ピーチ:「ここは?」


スー:「良かった。もう目を覚まさないかと思った」




ピーチは自分の右腕の半分がなくなっているのを見た。




ピーチ:「夢、」





あんな世界もありえたのかな?

涙が一筋落ちていった。








ピーチは半年もの間眠り続けていた。

精神が現実を否定した結果なのかもしれない。

その間。世界は慌ただしかった。




王国は滅亡し、

近隣の権力者が主体となり、

混乱した人達をまとめていった。




ゴブリン国は、

スーを新たな緑子とし、

団結を図った。






あの日。


とてもたくさんの人々がモニターを見ていた。

中継は突然切れてしまったが、

多くの人、ゴブリンは直感的に悟った。


生存闘争が近くに起こると。

なんとなく、

後にはもう戻れないことを感じたのだった。









・・・


・・・・・






更に半年後





牧野と呼ばれる平野に、

ゴブリン軍と人間軍は陣を取った。




両軍、この1年足らずの期間、

兵をかき集めるだけかき集めた。





兵力は3:7でゴブリン側が劣る。





人間軍は赤札令を用い、

15歳以上の男性を全て兵士にした。




スーはゴブリン達をまとめ上げるので精一杯であった。




その差だろう。






ドラゴン:「いよいよじゃのうスー」

スー:「ああ」



スー:「ピーチ。あれを」

ピーチ:「あいあいさー」



空に巨大な像となってスーが現れた。

その姿をゴブリン兵は皆見つめる。



もうすぐで戦争が始まる。



スー:「コホン」


咳払いをした。












スー:「これは聖戦だ」




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