22話:『ゴブリン』




スパ子:「ゴブリン。人間の遺伝子に、緑色の色素を加えられた人間のこと。又はその子孫」






緑子:「ゴブリンが人間だと!?、、、、」



スパ子:「始まりの魔女誕生よりもずっと、その歴史は長くあります」

   :「元々、犯罪抑制を目的とした『犯罪者における人権の剝離について』条例が始まりといわれています」

   :「内容は、上程度の犯罪者の人権を認めず、何をしても一切の法に触れないというもの」

   :「暴行、略奪、殺人、レイプ等、何をしても罪に問われることはありません」

   :「世界は差別の対象を予め決めることで、世の中の不条理の受け皿を作ろうしたのです」

   :「しかし、効果はあまりありませんでした」

   :「見た目が人間ですから、躊躇する人は数多くいたのです」



スパ子:「とある心理学者が、犯罪者同士の子が緑色になるよう、遺伝子に細工することを提案します」

   :「この時、ゴブリンはグリーンチルドレンと呼ばれていました」

   :「緑色のまま成長したこの人々に、人権は認められず何をしても合法でした」

   :「この時より、後のゴブリンと呼ばれるものは、日常的に虐待を受け続けることになります」

   :「これは成功しました。実験地になった箇所では、犯罪率が7割程度減少しています」



スパ子:「世界中から、注文が殺到しました」

   :「しかし、殺すことも合法なこの法律。グリーンチルドレンの数は、圧倒的に足りなくなります」

   :「故に、生産は厳格に管理されるようになりました」

   :「その際、生産個体になるべく醜男、醜女が選ばれました」

   :「それは子から子へ。幾つもの時を重ね継承し、より醜くなっていきます」



スパ子:「いつしかその容姿は、物語のゴブリンに類似し、ゴブリンと呼ばれるようになりました」

   :「現在のゴブリンの皮膚が分厚いのは、日常的に虐待さていた名残とされています」

   :「代を重ねるごとに、痛みを和らげようと適応したのでしょう」






スパ子はスクリーンに、時代の早回しのような映像を流し続けている。

そのうち、当時動画共有サイトで流行ったという映像を流し始めた。



『声が聞こえなくなるまでゴブリンを殴ってみた』

『ボウガンでゴブリン討伐』

『ゴブリンがどのくらい息が持つのか検証してみた』

『観察!飢え死するゴブリン』



等々。色々あった。

映る人々が皆笑顔で、不気味であった。



ピーチ:「酷い、、、」

緑子:「これが我々の祖先、、、」

勇者:「誰が喜ぶっていうんだこんなの、、、」

スー:「なんだよこれ、、、」







スパ子:「現在のゴブリンは、人間同様。始まり魔女の攻撃からの生き残りです」

   :「以来、ゴブリンと人間の争いは今尚続いています」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る