第6話 城跡・戦夜~弐

 ターゲットを見つめたまま素早く構え、引き金を引く。


 装填された金聖魔法が発動し、ターゲットであるキツネの夜獣やじゅうさんは額から炎を噴き上げたッス。


 さすが威力が六倍増になった魔法。

 

 上から下へ飲み込む勢いで、金色の炎がキツネの夜獣さんを焼き尽くしていくッス。


 まあ、消費される魔力も六倍増なんッスけどね。


 弓矢使いであるキツネの夜獣さんを先に仕留めて、遠くから狙われ続ける心配をなくしたッス。


 周りの夜獣さんたち、どうしたどうしたってなかんじで、キョロキョロ見回しているッス。


 そしてサルの夜獣さん。


 私の殺気に反応して、瞬間移動なみの速さで頭上に現れたッス。


 石垣と石垣の間、八メートルほど開いた谷にみたいになっているうえに、通り道は橋しかないんで、最速で来るならそれしかないッスよね。


 ハローを向け、引き金を引く私。


「プギャー!」


 腹部から金色の炎を出して落下するサルの夜獣さん。


 落ちるの好きッスね。


 特濃の炎と一緒に消えるんで、これ以上落ちることはないッスよ。


「彩!」


 文姫さんの声で本丸の方向を見ると、残りの夜獣さんが橋を渡ろうと集まっているッス。


 手にした武器で私を攻撃しようとするなら、橋を通って来るしかないッスもんね。


「ジュマ!」


 私は橋を挟んだ真向かいの位置に移動しつつ、ハローを左手に持ち、空間倉庫からいつものパイソンを取り出して右手に持ったッス。


 ハローは拡張具を外し、連射に切り替えて魔力を節約。


 パイソンには拘束魔法が装填されているッス。


 そして、両腕を揃えて構え、引き金を引く!


 右手のパイソンで一体一体を魔法で拘束。


 魔法で生成された蒼い帯状のものが夜獣さんの身体に巻きつき、立ったまま動きを封じるッス。


 左手のハローは小威力の金聖魔法を連続発動して、夜獣さん全員に拘束魔法をかけるまでの時間稼ぎッス。


 反動はないッスが、十メートルほど先で夜獣さんが被弾した反応を見せるんで、ハローを撃つ感覚はテレビゲームみたいな感じッスね。


「グ、グギャ、ギャ……」

「ガ、ガウ……」


 顔に火花のような金聖魔法を受け続けて、夜獣さん、うざったいと思われるでしょうが、これが作戦。


 拘束されるまでの辛抱ッスよ。


 ヒョウさん、オオカミさん、ライオンさん、トラさん、クマさん。


 みんな気をつけの姿勢になったッスね。


 私はハローを連射から強射に切り替え、前回の戦いで存在力が薄くなっている、ヒョウとオオカミの夜獣さんに魔法を撃つ。


「ギャ────」

「アオオオォォーーーン」


 断末魔をあげ、心臓部から噴き上がる金色の炎に包まれて消える二体の夜獣さん。


 やはり今回の夜獣さんたちはイベント中止がきっかけになって現れただけあって、どこかエンターテイメントっぽいところがあるッスね。


 右手のパイソンは拘束が外れた場合、かけ直すように構えたままにしてるッス。


 残り三体の夜獣さん。


 特にクマの弁慶夜獣さんは要注意ッスね。


 まだまだ戦いはこれからッス!

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