第10話 鍵

 今まで生きてきた中で、ああすればよかった、こうすればよかったと、反省することや、後悔することが多かった。

 これからは、そう思うことを、少しずつでも減らしていきたい。

 

 一日は本当に短くて、あっという間に終わってしまう。仕事をしていると、プライベートでやりたいことは殆ど出来ないし、行きたいところにも行けない。


 一日は、何もしなければ、なんにもないままに終わる。

 しかし、創ろうと思えば、その人によって、一日は創られる。

 不思議だ。


 与えられた今日という日に、湧き起った自分の考えや想いを言葉にすることは簡単ではない。



 今でこそこんなふうに、思ったことを文章にしているわけだが、もし、私に作曲という才能があったら、私はピアノで曲を作っていただろうなあ。

 私が若い頃は、実は言葉というものが、得意ではなかった。

 なんだか音楽より捉えどころがないし、誤って言葉という道具を使ってしまったら、どういうことになるか、分かっていたから。

 当時の私にとって、音楽は、言葉以上の、コミュニケーションツールだった。


 そんな私が本を読むようになって、自分の中で生まれたその時々の思いを言葉にして文章を書いているなんて本当に不思議だ。


 いつか誰かがこの日記を読むかもしれない、いや読まないかもしれない。

 どちらでもいい。でも、もし人に読まれることがあったとしたら、一文でもいいから、その人の心の重荷を減らすことが出来たらいいなと思う。

 私は、自分を救いたくて、日記を書き始めたから。


 書いて救って、読まれて救われて。

 そんな宇宙を感じることができたら、素敵なのにな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る