第19話 わし、3人に本当の話しをする 前編

やぁ、おそらく忘れていたであろう田中だ。何話目ぶりくらいかは分からないがしばらく出ていなかったことは確かじゃないかな?

……まぁいいか。僕のここでの仕事を果たそうかな。前回ともろもろのあらすじだ。


ある日、街で休んでいたA達一行は突如シャドウダイバーという六天王の襲撃を受けた。彼は手強く、オリジナルスキル等により手こずりはしたが、なんとか2人の勇敢な戦士の犠牲により討ち滅ぼすことに成功したのだった………………。


以上!では続きはA達に任せるとしようか。





〖〗

A達一行は9にてとある人物と待ち合わせをしていた。その人物とは、Aにとっては大切で、この先もずっといるであろう2人だ。


「あ、待たせちまったか?すみませんAさん。死んでしまった俺達を待ってもらって」


Aが待っていた人物。キースとマチスが頭を下げ、それを申し訳なさそうにAは見ていた。シャドウダイバーと戦ったのは昼で、第9の街に着くころには夜になっていた。


「いや、いい。そもそもわしがすぐにやつを片付けられなかったのが悪いんじゃ。気にすることでもないぞ。逆に、お主らのデスペナルティの方が重要じゃい」


このグランドワールドでは、死亡しても何度でも最後に入った街でリスポーンすることが出来る。だが、死亡したさいに蘇る代償としてデスペナルティを受けるのだ。毎回代償の多きさは異なり、ステータスの損傷が激しい時は激しく、少ないときは少ないのだ。別に落ちたステータスはまた上げればよいのだが、Aにはそういう考えげ出来なかった。


なぜなら、時間がないからである。だが落としたステータスを上げるには再びモンスターを狩ることになるだろし、今後の魔王領への進行も考えるとステータスは高い方かよいだろう。この相対する問題にAは悩んでいた。


「いや、それほど損傷は無いっすよボス。この先も問題ないぜ」


「Aさん。俺もだ。魔王領へ行くまで別にやべぇと思うほど苦労はしないだろうよ。多分道中の雑魚でも狩ってりゃ最終的に強くなれるさ」


と2人は腰に手をあて、平気そうな顔をする。それに対し、まだ不安の顔を残すAとリカ。だがその顔は数秒で戻り、いつもの仏頂面と笑い顔に戻った。


「よし、なら安心じゃな。今日はもう休むとしよう。宿へ向かうぞい」


「「「了解」」」


4人は安らかな気持ちで歩き始めた。


――――――――――――――――――――

<シャドウダイバーを倒したすぐ後>

「2人とも……本当にやってくれたのう」


Aとリカは死亡したキースとマチス、シャドウダイバーのいた窪みを覗いている。すでにシャドウダイバーが生み出した水は消滅しており、地が見えるようになっていた。


「そうですね…………2人が帰ってくるまでまだかかりますし私達だけで先に街に行きません?時間ももったいないですし」


「そうじゃな。2人にはリカから言っておいてくれるかのう?」


「了解でーす。あとでメールしときますね」


グランドワールド内でのフレンド機能のメールを使うのか、リアルでLI○EをするのかはAには分からなかった。それくらいに、3人は仲が良さそうに感じたのだ。


それからはただ道中を歩いた。途中で牛型のモンスターだったりスライムだったりと雑魚モンスターが湧いてきたが、今のAとリカの敵ではなかった。最終的にシャドウダイバーを倒したのはキースとマチスの2人だが、Aとリカもダメージは与えている。戦闘に関わるだけでも経験値が貰えるというポ○モンみたいな仕様により大幅にレベルが上がっていた。Aはレベル50で、リカは41。第9の街へ向かうにしては十分すぎるほどだった。分かりやすく例えると、普通のナイトならそこまで手こずることなく勝てるレベル。あの時のAはもう存在していないのだ。


余裕からなのか、Aとリカは雑談を始める。


「私達ってこんなに早く進んでますが、クエストとかやらなくていいんですか?強い武器とか手に入りますよ?」


今まで話題にすら上がらなかったクエストという単語をここで聞くことになろうとは。一応Aもクエストの存在は知っていたがやったことはなかった。最初のうちは興味があったかもしれない。だが、今は違う。Aはリカに少し強い意志を込めるようにして言った。


「馬鹿野郎!クエストなんてやってたらあっという間に時間が過ぎてしまうじゃろうが!そんな暇あったら進んでるわい!武器も幹部がわしらに直接会ってくれるのもあって割と武器も揃っておる。そんなもの、やらんくても大丈夫じゃよ」


普通のプレイヤーにとっては大切なことをあっさりと跳ね除けるA。それにリカはポカーンと口を開けていた。


「あ、リカ。もうすぐ着くぞ。あれが第9の街じゃな?第8の街と大して構造が変わらないように見えるんじゃが………」


Aの言う通り、構造が全くと言っていいほど似ているのだ。もうこれは運営がサボったというのを認めるしかないな……というのがAの心情である。だが気にしていけは負け。そう心に刻みつつもやはり気にしてしまうAとリカは街の人混みへと紛れていった―――。















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