第6話 わし、魔法老人になる

やあ、僕は田中。あらすじ担当だ。前回、強モンスターであるナイトと戦い、ギリギリのところで勝利した村人A。そこでAは衝撃の事実を話される。なんと、上級モンスターのほとんどが運営サイドの者なのだ!つまり、これからは意思をもった者と戦うことになるというわけだ!今まで通りにはならない。だが、A!君ならいける!頑張れ!A!負けるな!A!






〖〗

「ふう。いい朝だ。昨日のことが嘘みたいじゃ」


雲一つない青い空。鳥の鳴き声。その他。

昨日はマジで死を目の前にして大変だった。あんなのが序盤でポンポン出ちゃたまらん。まあ、あの刀のような物が序盤で手に入れることが出来たのはラッキーだけどね。


「昨日はさっさと寝ちゃったから刀の能力見てないぞい。今から見るかねぇ」


[血塊の双刀]:戦闘中に相手に攻撃を当てるたびにその血を吸い、強化されていく魔の双刀。第10の街以降のモンスターが低確率でドロップする。


「凄い性能じゃないか!これは中々…。これからの相棒はこいつじゃ!第5の街に行くまでに試し斬りじゃ!」


だが、途中でAはナイトとの戦いを思い出した。ナイトとの戦いは常に接近戦だった。魔法も近距離で使ってたし。


(なんか接近戦ばかりだとさすがに遠眼が使えるといっても遠距離戦はキツイよねぇ。よっしゃ!せっかく魔法も使えるんだから魔法ももっと鍛えるぞい!次の街で)


Aは宿を出て第5の街へ向かうのであった。








〖〗

森の道中で。


「うおおおおぉりゃあぁぁ!!」


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあ」


なんか街へ向かう勇者がいたから刀の錆にしてやったわい(ゲームの設定上武器は錆ない)。マジでこの刀つえぇぇ!多分この刀の特殊能力なくても元々の斬れ味で十分!まあ、ナイトみたいなのが来たら少し大変だとは思うが。


(レベル上げも兼ねて勇者やモンスターをもうちょい狩るかな)


今のAのレベルは24。ナイトを倒したことにより、大幅なレベルアップだ。第5の街へ行くにしては高すぎるレベル。それでもまだ狩るAはかなりの慎重者というより、ただ楽しんでいるという感じである。


(おお、来た来た。ご覚悟を!)


「うおおおおぉ!!!」


「お前は村人えっ」


セリフを喋る前に倒す。これ重要。








〖〗

「ここが第5の街…。鎧フル装備などの中々なプレイヤーも増えてきてるのう。それでこそ倒しがいってのがあるわい」


わしは思った。街の見た目ってほとんど変わってなくないか?とね。ここまで見てきて、ずっと同じなんよ。街→森→街。これが続いている。次の街は頼むぜ……。もう街の構図が頭に浮かぶんじゃが…。もう街の中心行くのめんどくさいから武器屋に行ってなんか面白いのないか探すかな。

そのまま数分歩き、


(やっぱり同じ場所じゃないか!もっと頑張れ!…。とりあえず入店しよう)


Aは武器屋の中へ入っていった。


「らっしゃい!」


店長の声が響く。


(正直刀は買う必要ないし、忍者服も動きやすいから気に入ってるんだよね……。でも魔法使い目指すし、そういう類の物は…)


あった。[いい感じの魔法使いのローブ]:中々いい感じになった魔法使いが付けるローブ。剣士には意味ないけどオシャレで鎧の上に付けるのはあり。

この説明文舐めてんのか。剣士が鎧の上にローブとか動きにくいだけじゃん。だが、わしは買う。何故なら役職もクソもないからだ!忍者服により高速な動きを可能にしつつ、ローブで魔法の扱いも向上。高速魔法使いになれるのだ!


「はい、これ」


店長が値段を言い渡す。


「1万円ね」


(嘘やろ?高!?忍者服よりは全然安いと思っていたけど、実は高かった!)


いい感じだからまあ、仕方ないね。一応金はナイトと勇者狩りにより、割とあるからいいけど、やっぱり減るのは嫌なんだよね…。


「んじゃほれ、1万円」


「毎度あり!」


Aはいい感じのローブを早速装備。今までよりさらにヤバい奴感が増した。忍者服の上にローブはやっぱり無いわー。だが着る。勝つためには名誉や誇りは無い!








〖〗

やっぱり視線は感じた。それも哀れみの目で。

今Aは第5の街のスキル巡りをしている。第5の街では今までよりもさらによいスキルが増えている。スキルを全部覚えるというのは普通のプレイヤーならさぞかし大変だろうが、あいにく、Aは人口知能なのでそんなことは関係ないのだ。


「よっしゃぁ!魔法使い用のスキルゲット![スタンボルト]か。当てた相手を小時間行動不能とする雷属性の魔法か。これ中々凄いねぇ」


魔法使いは魔法を基本的には連発して撃つことはできない。そのため、このスキルはチームでのサポート用として使われるのだ。だが、


「ふん。わしなら1人で2人分になれちゃうもんね」


という事だ。まあ、実践を見るのが一番早いだろう。


(後残ったスキルは数個か。とっとと獲得して勇者共を実験台にしてやるわい!)


こうしてAは再びスキルを集めに戻るのであった。








〖〗

「ハッハッハッハー。[スタンボルト]ぉぉぉ!」


「グハァ!うっ動けない!?」


[スタンボルト]を受けてしまった勇者はもう動けなくなってしまった。普通の魔法使いはここで攻撃は止まるが、


「ほれ!この刀の錆になれい!」


「うっそだろ!?お前、魔法使いだろ!?」


Aが振り下ろした刀が勇者の首に突き刺さり、勇者は光の結晶となり消えていくのだった。


(なんか物足りないのう。まあいい、次じゃ次!………………。おっ!約50m先に金髪の美少女が!見た感じ高校生ぐらいじゃなあ。女子のプレイヤーは珍しい!悲鳴を聞かせてくれや!)


「[遠眼]!やっぱぼやけるからね。確実に仕留めるならこれじゃ!」


Aは指を銃の形にし、少女の頭に指を向ける。当然向こう側からは狙われてるとは思わないだろうが。


「[水針弾]!」


Aがスキル名を言った瞬間にAの指からは水が高速で飛ばされた。このスキル[水針弾]はウォーターカッターと同じで、高速で水を飛ばすことにより、物を切断するほどの強さを得ることができるのだ。Aが放った水は少女の頭目掛けて飛んでいったのだが、


「あぁぁぁぁぁ!!痛い痛い!何なの!?」


水は頭に当たることなく、大幅にズレて肩に命中。少女は肩を押さえ、混乱している。


(初めてもあって撃った衝撃で少しズレてしまったわい。あらかじめ肉体を強化した方が良かったかな?)


まあ、ちょっとずつ練習して肉体を強化しなくても当てれるようにはなろう。はい!次のスキル!。いい感じのローブの特殊効果により、魔法使用後の冷却期間が短縮され、そこまで不便ではないくらいに撃てるようにはなっている。それでも近距離とかで連発するには程遠いが。


「[バインド]!」


少女の体を光の縄が縛り付ける。


「嫌!何なの!?ううう…」


[バインド]は[スタンボルト]とは行動不能にするという点は同じでも、違う点がある。それは、魔法の持続の長さと射程。持続でいったら[バインド]の方が長いが、[スタンボルト]の方が射程は長い。あと、属性を持っている。一長一短である。

Aは動けなくなった少女へと走って近づく。少女の幼い顔が涙を流して怯えている。


「や…止めて…。助けて…」


「やだよ(即答)。今まで男の太い声しか聞いてなかったんじゃ!さあ、声を聞かせてくれ!」


Aが手の平を広げ、


「[ポイズンブロウ]」


Aの手の平が紫のオーラで包まれる。[ポイズンブロウ]は使用者の拳に毒属性を一定時間追加し、その拳に触れた者は毒の状態に落ちてしまうのだ。


「ほれ!」


「きゃ!」


Aは少女の顔を殴った。顔は少し青白くなっている。毒にかかった状態だ。毒は解毒剤を飲むか、魔法に消してもらうか、死ぬしか解除することはできない。


「あとは放置しとけば勝手に死ぬ。だが、それでは面白くない。もうちょい実験台になってもらうね」


少女の顔はさらに絶望へと染まった。








〖〗

「あ…あ…あ……」


もう少女は顔を歪ませるだけで悲鳴を上げなくなった。ただ、虚空を見るだけだ。


「おーい、大丈夫かー。………。駄目じゃな。んじゃこいつの餌にするか。ほれ!」


辺りに赤いエフェクトが散り、光の結晶が舞う。


「ざまあ味噌カツ!男女関係ない!勇者は滅ぶべき!ハッハッハッハー!……………。帰ろう」


Aは来た道を戻り始めた。








〖〗

宿に戻り、Aは1日の反省をしてベッドに入る。


「中々魔法使いもいいもんじゃ!魔法老人[村人A]!なんてな!ハッハッハッハー。はあ、明日はこの街を出るかな。ずっと同じ景色な気がするんだが…。もう飽きた。次の街に期待じゃ!」


どうか次の街ではAのご期待に答えられるのうな街に…。




















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