梅雨

雨がよく降る梅雨の時期が来た。

「兄さん、外は雨ですよ。こんな中学校に行っては、風邪を引くだけですよ。」

凛空の部屋のドアを開けた瞬間にそう言われた。さすがに雨の中そんなことをいわれたら、萎える。

「いや、雨だけど、傘刺せばあんまり濡れないし、家から学校まで、5分もかからないだろ。」

「だって雨だと、ローファー濡れる

し、、、湿気で髪ボサボサに、制服だって濡れたら乾かすのめんどくさいんだもの。だから、私は2度寝します。」

修学旅行も終わって、楓ともなかよくなったんだし、学校に行くかと思いきや、梅雨に入った途端、学校に行かなくなった。


凛空を置いて俺は、家を出た。

昇降口で、スリッパに履き替えているとびしょ濡れの杏がいた。

「おまえ、なんで傘刺さないんだよ。びしょ濡れじゃないか」

杏にカバンに入っていたタオルを、杏に渡した。

「ありがとうございます。先輩。ちょうどバスから降りた時に、傘をバスに忘れてしまって。」

「おまえ、そういうとこあるよな。試合の時に、みんなのお茶忘れたりな。」

「そんな時、いつも助けてくれた先輩に感謝してます。今日もですけど。」

「そうか、後輩からしたわれるのは、うれしいなぁ。そろそろ、時間だから先に行くな。タオルは、今度でいいぞ。」

A組の教室に入りてきとうな、席に着く。そして、授業を淡々とこなす。梅雨が開ければ、夏休み。凛空を、外に出すならちょうどいい機会だし、 またどっかに連れていこう。

「太郎君、何か面白いこと考えている顔してるよ。授業に集中しないと。」

色々な計画を立てていたら、楓に怒られてしまった。

「いや、夏休みどっかに行こうかなって。」

「そう、なら私も連れていってね?太郎君。」

「わかったよ。」

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