第27話 野球女子二人と出会う

「お帰り」

「ただいま」


家に入り、返事をしてきたのはめぐみだった。


「どうだった?久しぶりの部活は?」

「まぁ良かったな。人数が増えてて面倒だったが」

「そっか、新入生が入ってきてるもんね。どれくらい?やっぱ10人

以上はいるでしょ?」

「もっとだ。ざっと50人」

「50!?いっきに大所帯になっちゃったわね。私はもう戻れないし

監督も大変かも」

「それなら問題ない。新しいマネージャーが二人もいたからな」

「二人も?なら安心かな。やっぱり甲子園優勝するとすごいわね」

「ああ。普通に中学で有名だった奴らもいたらしいからな」

「それは頼もしいことで」

「だからお前は子育てに集中してくれ。もちろん俺も手伝う」

「ありがとうあなた」


めぐみは赤ん坊を抱えていた。そう、二人の赤ちゃんだ。めぐみが学校を

止めたの原因だ。去年からの子作りですぐに成果が出て。先月生まれた

ばかりだ。そして、この家は早苗が買ってくれた家だ。二人でいや

三人で暮らすなら家がいるという事で、医者で一人身だったのでお金は

そこそこあったのでそれを息子の為に使うならと一軒家を買ったのだ。


「ねぇこの子、ゆいちゃんが物心つくまでは」

「わかってる。今は死ぬつもりはない。生きれるならどんな事だったする」


凍夜はめぐみとゆいの為に生きる意欲を持つ様になっていた。


翌週の土曜日、部活の時間。凍夜は普通に部活に参加していた。その

効果か、グラウンド周りはいつもギャラリーで埋まり、マスコミも

たえず訪れてきていた。

平日の練習では見られない休日の練習では碧陽恒例の練習が待っていた。


それは、凍夜一人対他の部員全員を相手にする練習だ。凍夜の球を

見慣れる事で他の投手の速球が遅く感じれるようになれば誰もが

打てるようになるからと言う事で土曜日の恒例になっていた。


その時間になるとマスコミが一斉にカメラを凍夜に向ける。他の部員達に

も誰が打てるのかを予想したりしながら映してる感じだ。


「さぁ始めるよ。凍夜君準備はいい?」

「いつでもいいぞ」


最初の打者が打席に入る。捕手は遙だ。最初は一年生なので

遙がマスクをつける。そうして凍夜は部員全員に投げ続けた。

去年までならすぐに終わるのだが、今年は一年だけで50人は

いるので、これだけで普通に時間がかかった。


練習が終わり、明日は他校と練習がある事を告げられ、凍夜は

先発ではなく抑えに回る事になった。今の戦力なら凍夜が

いなくても普通に勝てるからだ。一年の中にも投手はいて

それなりの力を持っている。だから凍夜の負担を減らせれるので

洋子は凍夜を抑えに回した。


それから凍夜は一人、まっすぐ家には帰らず、一人、誰にも見つからない

様に、とある駅にやってきた。そこには駅から歩いて数分程の所に

バッティングセンターがあり、凍夜はたまにここに来ていた。


少し夜になっているので人はあまりいないので、気軽にできるから

凍夜はいつも通りにやろうとした時だった。誰かに声をかけられて

しまい、めんどうだと思ったが声のする方を振り向いた。

そこには中学生ぐらいの女の子二人がいた。


「あの、碧陽高校の凍夜さんですよね」

「ああそうだが」

「やっぱり本物だ。あの、握手してもらえますか」

「ああ」


凍夜は二人と握手をした。それから自己紹介をされた。


「私、一宮学園の二年、成美翔子なるみしょうこです。軟式

野球部で投手です」

「同じ二年で捕手をしてます青葉加奈子あおばかなこです」

「へぇ軟式でバッテリーか」

「ハイ。あの、よかったら一緒に練習させてもらえませんか」

「まぁ暇だからいいが、時間はいいのか?中学生だと」

「大丈夫です。私達、真剣に野球をやってるので家族も

練習なら遅くなってもいいって」

「私もです」

「そうか。じゃぁ見てやるよ」


凍夜は二人と一緒にする事にした。翔子は投手だが、バッティングも

できるみたいなので、ここでも打っている。加奈子も同じで

打つのと守りを両方できる捕手になる為に練習をしている様だ。

ちなみに、翔子は少し身長が低いが、胸は膨らんでいるが、お尻は

少し小さい。加奈子は逆で、胸は少し小さいが、お尻は大きい。


バッティングを終えた後、凍夜達は近くの小さい公園で翔子の

球を見る事にした。


「どうですか!?」

「まぁ中学生にしたらいいほうだな。でも、モーションが悪い」

「モーション?」

「やっぱり凍夜さんもそう思います?」

「わかってたのか?」

「ええ。でも、中々言えなくて」

「言わなきゃわからんぞ。特にバッテリーならなおさらな」

「そうなんですけど」

「二人で何話してるの」

「えっとね」


加奈子は言いずらかった事を言った。ちなみにそれは凍夜とは

違う意味の事だった。というか凍夜がそれが原因だとは思いも

つかなかったからだ。


「お、おっぱい!?」

「翔子ちゃん、おっぱい大きいからモーション遅いんだと思う」

「やっぱり、そうなんだ」

「気づいてたの?」

「なんとくだけどね。でもどうすればいいんだろ」

「そうね。そればっかりはどうにも」

「そんなのは簡単だ」

「え!?どうすればいいんですか?」

「フォームを変えればいい」

「あ!そうか」

「でも、今から変えるのも」

「お前なら適した投げ方がある。とりあずやってみな」

「わ、わかりました」


翔子は言われた通りに投げた。すると、動きが早くなり、良く

なった感じだ。そのフォームはサイドスローだった。今まで

翔子は普通のオーバーでしていたので、それがダメだったが

サイドにした事で動きが良くなった。


それから少し凍夜から練習を教わった二人。さすがに遅い時間に

なったので、凍夜が二人を最寄駅まで送る事にした。


「あの、ありがとうございました。まさか、憧れてた凍夜さんに

会えてしかも、練習も一緒にできるなんて」

「私もうれしかったです」

「ま、それなら良かったがな。じゃぁ頑張れよ」

「あの、これからも練習見てもらえませんか?よかったらその

連絡先を教えてほしいんですけど」

「まぁ構わんよ」

「ありがとうございます」


そうして凍夜は二人と連絡を取り合う事にした。別れ際に

明日、練習試合があるからよかったら見に来いと伝えた。


そうして翌日、碧陽のグラウンドで練習試合がおこなれる

時間になり、周りには大勢のギャラリーとマスコミがいて

そこには翔子と加奈子の二人も来ていた。

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