第7話 凍夜、メジャー球団を壊す!?

会場内はざわついていた。それは凍夜達碧陽がやってきたからだ。

今まで、最弱と言われてきた学園が最強の風花達を倒して今では

この地区の最強にまでなったのだ。その凍夜達は一番後ろの席に

座る。周りにはマスコミが多く、この地区は今、世界中の注目を

集めていた。


「こんな所の壇上に上がるのか俺」

「がんばれよキャプテン」

「くじを引くだけなんだがな。それでも緊張するぜ」

「これで緊張してたら甲子園に立った時もっと大変になるわよ。でも

悪い事じゃないからこの緊張も勉強と思いなさい」

「ハイ」


洋子が皆に声をかける。ほぼ全員が緊張してる中、凍夜は当然、何の

緊張もなくただ座っている。


「長峰君は緊張してないね」

「俺がするわけないだろ」

「そうだね。変に緊張したら体にも」

「おい、他の奴らがいる所でその話はするな」

「ごめん」


凍夜の隣に座ってるめぐみと話していると、チャイムがなり、甲子園のテーマ曲が

流れ、壇上に人が現れた。そして、女性アナウンサーが抽選会を始めるあいさつを

始めた。そして、説明を聞き、各校の部長、キャプテンがくじを引いていく。

そして、碧陽の番になり、工藤清隆が緊張しながらくじを引いた。

その番号がわかり、札がボードに貼られる。碧陽の隣にあったのはなんと

風花学園だった。


「風花だ!」

「いきなり風花に当たった!!」


他の奴らが騒ぎ出す。風花が負けている事は知られているので周りは

風花のリベンジマッチだと騒いでいた。

その風花の部員であるあの佐藤光一が凍夜の所にやってきた。


「まさか、一回戦で当たるとはな。絶対お前の玉を打つ」

「打つだけじゃ勝てないぜ。ま、当たるだけお前はましだろうがな」

「あいかわらずだな。ま、お前にはそれを言うだけの力があるからな。でも

それもすぐに言えなくしてやるよ」

「させてみな」


光一は言うだけ言って戻った。その後、清貴や遙、そして凍夜は取材陣に

囲まれて話をした。凍夜はほとんど語らなかったが、写真を撮るだけでも

マスコミ達にはプラスだった。


大会まであと一週間後に迫った時、凍夜はある所にいた。そこは空港だ。

凍夜はアメリカに向かおうとしていた。それは、メジャーから来た

スカウトに見に来てほしいと言われていたのだ。

それを早苗に話してしまい、行ってきなさいと言われた。今まで病院でしか

いられなかったので、学校だけじゃなく、色んな所にも行ってほしいと

早苗へは思い、見学をさせに行ったのだ。


学園にも休暇をもらい、凍夜は一人アメリカに向かった。その事は

当然ニュースにもなったりしていて、空港でもマスコミに迫られて

いた。飛行機に乗り、そして、ついに凍夜はアメリカに来た。


「アメリカか。野球やっただけでこんな所に来るなんてな。やっぱり

面倒だな」


そう言いながらも凍夜は教えてもらった番号にかけて球団の人に

連絡をし、その人がやってきた。

現れたのは女性だった。いかにもな金髪に豊満な胸をしていて

関係者とは思えない容姿だった。スーツは着ていたが。


「あなたが長峰凍夜君ね。初めましてシェリーよ。よろしく」

「日本語話せるのか?」

「ええ。うちは他の国からも選手をスカウトするからね。色んな国の

言葉は話せ居ないとね」

「それで、俺はどうすればいい?」

「とりあえず私についてきて。話は車の中で話すわ」


言われた通り車、リムジンに乗り込み、その中でシェリーから話を聞いた。

凍夜が行く所はメジャーでも屈指の球団で、世界一にもなっている

ダイアモンドスターという球団だ。そこで凍夜は将来のエースになって

もらうと思ったらしい。

そんな話をしながら数時間後、球場についた。車から降りるとその大きさを

目の当たりにする。


「無駄にでかいな」

「あたりまえよ。ここで5万人という客を楽しませるんだから」

「ま、それより中に入るぞ」

「待ちなさい。あなた一人じゃ入れないから」


慌ててついていくシェリー。手続きをして中に入る。廊下を進み光が差す

方へ行くとそこには大勢の選手がいた。


「本当に無駄に広いな。そんであれがプロか」


凍夜は生で初めて日本ではなくアメリカの選手を見た。シェリーが

声を出して選手達に気づかせた。選手達も凍夜来るのは知らされて

いたので、待っていた様だ。

ベンチに行くとそこにこの球団の監督がいた。


「君が世界最速のボールを投げる日本人か」

「そうみたいだな」

「英語も話せるみたいだな」


凍夜は一人で生きていく為に勉強も全て完璧にできるようにしていたので

英語は普通に話せる。


「今、投げれるか?」

「今日は試合はないのか?」

「今日は休日だ。心配はない」

「そうか。あんたらがいいなら構わんぞ。何もしないのも暇だしな」

「いい度胸だ。よし、準備させるから君も準備しなさい」


言われた通り凍夜はジャージに着替えてスパイクを履く。その間に

選手達も準備をする。それを見ていたファンの客達も何が始まるのか

と騒がしくなった。ここには当然マスコミも来ていて、凍夜の事も

伝えられている。


選手達がベンチに入り、試合の様な雰囲気になる。すると、バックスクリーンの

モニターに凍夜の紹介が映しだされ、実況アナウンスが流れた。


「なんだこれは?」

「セレモニーみたいなものだよ。日本では無理だろ」

「確かにな。ま、嫌いじゃないぜ。今から俺がこれを壊せるんだからな」

「壊す?」


凍夜の言葉に監督は?を浮かべた。


凍夜がマウンドに上がると客達も知っていたかの様に拍手をする。そして

打席にスタメンのメンバーが立つ。

凍夜の所に捕手がやってきた。


「いきなりの事で驚いているだろうが、遊びだと思ってくれ。皆、お前の

世界最速を見たいんだよ」

「かまんよ。そんな遊び、簡単に壊してやるから」


捕手も?を浮かべながら戻った。そうして凍夜は振りかぶっていきなり

少し本気で投げた。


夜、凍夜はホテルで一人外を眺めていた。


「本当にめんどうだな。でも、どうせ俺には時間はない。だったら

暴れてもいいだろう」


凍夜は選手全員を三振にして、その場を何を言わずに去った。その様子も

テレビで流れてしまい、球団は恥をかいてしまった。


翌日、凍夜は二日間いるはずだったのをキャンセルし、すぐに日本に戻った。


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