第20話

アイドル


百恵ちゃんやピンクレディが好きだった(自分が音痴だとも知らずに歌って楽しんでいた。私の耳には私の声はカッコよく聞こえるという、脳の悪戯に大人になるまで気がつかなかったからだ。セリーヌの歌を母と一緒にカラオケしたのをカセットテープにダビングして聞くまで、私は私の発音している声が気持ち悪いとは本当に知らなかった)私ら子供達は、聖子ちゃんと明菜のごっこ遊びを始める。その彼氏にたのきんトリオが選ばれた。トシちゃん×聖子ちゃん、マッチ×明菜ちゃんという具合だ。とても夢中になっていた為に、もしも私達姉妹がテレパシーの人ならば、聞こえてる人達には「マジで?」という飯事を楽しんでいた。月に住む彼らは地球にアイドル業に出張していたというヘンテコな話だった。月の大地で野菜をを自作するという設定。それに、ユキヒロとユキヒコという人間に化けた熊のぬいぐるみ達が天才的な料理の腕を披露したり、写真そっくりに似顔絵を描くという天才兄弟という話で、二人だけで隣に並べた布団の中でくすくす話していただけだから、肖像権の侵害やなりすまし詐欺に該当するとは思って居なかった。飯事をする分には今でも怒られないだろう。でもマッチ×明菜ちゃんの現実が明菜ちゃんの自殺未遂なので、止めておく方が良いと二人で判断した。私達が遊ぶマッチ×明菜ちゃんは熱愛カップルなので、もしそれらが明菜ちゃんに届いていたら、明菜ちゃんは本当のマッチの事を知らないという悲劇な話だから、今は注意している。というより今は私達は飯事を必要としてない。私は物語の近くに居るが、姉は受験で一人部屋を確保して以来、私との飯事を卒業してしまった。私も私で、受験で一人部屋を確保したので、妹の音楽愛に染まることなく、一人で漫画のネタを考えては何度も何度もリピートして快楽を味わっていた。そんな私が漫画を描かない理由は母の精神的介護にあって居たからだ。気高く繊細な母を思うと絵を描く練習をするヒマが無かった。だから余計に脳ミソは大切な漫画のデータベース化した。「アーシアン」高河ゆん作の芦屋博士が脳ミソはデータベースだと言ってたから、おんなじと喜ぶ私だった。(それが覆るのは二度目のはつ恋の相手に「君はボクの事を何も知らない」と大激怒されるまで)高校も漫研目当てで探した。結局、近場の高校に進学するのだが、私は美術部と文芸部に在籍するくらい漫画が描きたかった。

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