第26話 機械神。

 ボク達が次に訪れたのはアンダーノウスから南東にしばらく行ったところにあったアストリンジェンっていう街。


 わりと若者も多く活気に溢れている街、という噂だった。


 勇者タクマもたぶんまずこの街に行ったんじゃないかってそんな話で。


 実は今のボクならほぼ一瞬で飛んで行けるくらいの距離。でも。


 いろいろと魔法やら魔・ギアの使い勝手を試したかったのもあって、普通に徒歩で旅してきた。


 まあね? 移動用のテントとかベッドとかも持ってきたし食料だってちゃんとレイスに収納してきたから、野営とかその辺はまったく問題なかったしね。


 ほんと便利。


 人前で使えないって言う難点を除けばね。


「そんなにバレるの嫌なの?」


「そりゃあね。フニウ。こんな能力があることが知られたら、もう普通の子として扱って貰えなくなりそうだもん」


 そう。


 一ヶ月アンダーノウスで暮らしてわかった事。


 ここの人間は基本的に地球の人間とほぼ変わらない、って話。


 身体能力も文化的にも。


 魔法なんてごく一部の特殊な人間だけが持ってるチカラだって事。


 それも子供の時の洗礼式で魔力持ちだと判るとそれ専門の学校に通わなくちゃいけないらしい。


 まあそれはもちろん国費らしいから、親の負担は一切無し。皆平等っていう所はすごいなって思うけどね?



 だから。


 ダントさんたちも魔法は隠してるって言ってた。


 いろいろ面倒なことになりそうだからって。



 そもそも洗礼式を受けた人間でないと市民権は認められない。


 そうでない余所者に魔力があった場合、どうなっちゃうのかちょっと不明。


 危険だって殺されちゃうとかは勘弁だし国の管理下とかに置かれて自由が無くなるのも嫌だし。



 そういう意味で言ったら、ここの世界に住む住人には職業の自由は無いっぽい?


 市民権はある。


 でも、すべて能力家柄によって管理されてるんだって。それもどうかって思うよね?



 もう一つ不思議なのは街中に溢れる工業製品の数々だ。


 レンガ一つ窓ガラス一つとっても普通に手工業で作れるレベルを超えている。


 それがどうやって製造されどうやって流通管理されているのか?


 街の人は皆口を揃えて「機械神さまのお導きです」と答えるだけだった。


 って事は何? これみんなフニウたちがやってるて事?


「僕は手を出さないけど、ね? まあ、そういう話になるのかなぁ?」


 ってなんなの機械神って。


「この世界をお守りくださってる全てさ」


 うーん。ほんとよくわかんない。

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