第19話 内なる世界。

チュンチュン


なんだか鳥の囀りが聞こえる?


ってー。朝!?



あうあうボクいつのまに寝ちゃったんだろう?


ベッド……。ふかふかできもちは良いけど……。



どうやらおっきなベッドのど真ん中にいる?


あ!


シルヴァ!


どこ?






隣にいるはずのシルヴァが居ないことに一瞬不安になって飛び起きたボク。身体を起こして周囲を見渡した、ら。


ソファーでくうくう寝息を立てているシルヴァ。


ああ。



ごめんねシルヴァ。ボクがあんな事言ったから?



気遣ってくれたんだね。ほんとごめん。




んー。って伸びをして着替えを探す。


って、ボク殆ど裸見たいな格好してるっぽい。


キャミソール? をはおって下はパンツだけ。


ドレスはどこ?


っていうか誰が脱がしてくれたのさ。


「自分で脱いだんだよ? 覚えてないの?」


あ、フニウ!


「ふわぁあ。おはよーセリーヌ。もう大丈夫?」


ふわふわ浮かびながら右腕を上げ伸びをするフニウ。もふもふな猫のぬいぐるみみたいに見えるけど、そうしてる仕草は人間みたいにみえてくる。


「着替えは君が自分のレイスに閉まったから。取り出すといいよ?」


え?


「レイスって、収納もできるの?」


「できるよ? っていうかレイスっていうのはさ、もうほぼ一つの世界、一つの宇宙なんだよ。君の心の中の内なる世界。だからもうなんでも出来る。その気になればね?」


はう。


「君のいた世界の言葉で言えば、『インナースペース』日本語に直して『内なる世界』だね?」


そっか。


インナースペースってどこかで聞いたことがある。


確かに自分の中にある空間、だろうけど。


それが宇宙? 世界? そこまでのものなの?


「まあね。世界、宇宙、って、もうとんでもなく沢山のそれが産まれては消え消えては産まれてくるんだけど、人の心も一緒なんだよ。産まれては死に、死んでは産まれてくる。そこにはなんの違いも無いんだ」


って、そんな宇宙と人間の心じゃ全然違う……。


「ほんと頭が硬いね。今のセリーヌは。考えるんじゃないよ。感じるの。きっとわかるよ。そのうちにね」




なんだかやっぱりちょっとまだ納得できないけどしょうがない。


今日はよろずギルドに連れて行って貰わないとだし、着替えなきゃね。



そうしてボクは立ち上がり、両手を前にかざしてベッドの上に自分のレイスに収納してあったゴシックドレスをとりだした。


取り出し方がちゃんとわかるのは昨夜の情報の海のおかげかと思う。


なんとなく頭に浮かぶのだ。うん。これは便利。


なんだか辞書を頭の中に持っているみたい。


あは。


なんだか嬉しいな。

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