第13話 狩。

激しく切り結ぶ男女とリザードドラゴン。


剣だけでなく魔法も飛び交ってる。っていうかあのリザードドラゴン、強い?


近づいてみると。


やっぱりだ。さっき食べたお肉じゃないか。


シッポが途中で切れてるよ。




え?


ってことは何?


シルヴァはさっきあれと格闘してきたってわけ?


あんな数人がかりでも苦戦してるっぽい相手に?



「あー、あれはうまそーじゃないか。まだこの辺に居たんだな」


そうのんきに喋るシルヴァ。


って、どうしよっか?


このまま素通りもなんかねざめが悪いけど。


あうあうあの男の人の剣が弾かれて飛んでっちゃった。


あう今度はもう一人、ああ、殴られてダウン……。


女の人、どうやら魔法使いみたいだけど、雷の魔法? みたいの出してるけど当たらない、かぁ。


もう! みてらんない!


「お願いシルヴァ。あの人たち助けてあげて」


「いいのか? 狩の邪魔ならしたくは無いけど?」


「って、完全に負けそうじゃない。このままじゃあの人たち全滅しそうだよ! お願い、助けてあげてよ」


「まあ、セリーヌがそういうのなら、な」


そう言うと。

一瞬でダッシュするシルヴァ。速い!



あっという間にリザードドラゴンとの間合いを詰めると、そのまま飛び蹴り!


え?


リザードドラゴンが吹っ飛んだ?



よく見るとあれ、身長なんかシルヴァの倍は余裕であるし。


身体の太さも横に見て1メートルは余裕であるよね。


さっき人間が殴り飛ばされてたけど腕の筋力だって相当なはず。(って腕? 前足? あーん、どっちなのかなこの場合……)


それなのに。




完全にシルヴァの方が強い。


蹴るわ殴るわ振り回すわ、で。


ああ、よく考えたらシルヴァ素手だったよね。それでもあんなに強いんだ。


弱ったリザードドラゴンにとどめとばかりに手刀を突き刺し。ああ、たぶん心臓破壊した? のかな。どっさーんと大きな音をたてその肉塊は倒れた。


ピクリともしなくなったから、これで決着が付いたらしい。



茫然としている男女。


ああ、一人大怪我? 倒れてるあの人なんとかしなきゃ、だけど。


ボクはその人のそばに駆け寄った。


なんとなく、だけど、わかる。


今は何をすればいいの、かも。



「お願い。キュア。この人を助けて……」


患部に手を添えてそう祈る。


ボクの両手から金色の粒子が滲み出て。


ああ、これが、ボクの、真那マナだ。


滲み出た粒子がボクの周りに居たキュアと結合して怪我人の男性の身体に吸い込まれていくのがわかる。



ああ。これでもう大丈夫。


なんでかわかんないけれど、そんな確信が持てた。

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