第47話 Permission to marry Ⅰ

家族の中で、彼との結婚に最初に賛成してくれたのは母だった。


結婚について恐る恐る相談した私に、母はいとも簡単に許可を出してくれた。


「あなたが家に男性を連れて来るなんて初めての事だったし、あなたの態度を見た時に、何となくそんな予感はしたのよ。女は好きな人と結ばれるのが一番の幸せ。あなたが決心したなら、そうしなさい。」


母と彼は面識めんしきがあったが、まさか母がそんな事を考えていたとは全く知らなかったので、私は本当におどろいた。


対照的に、一番の難敵なんてきは父だった。


父は私を目の中に入れても痛くないくらい可愛がってくれたが、それだけに娘を手放したくない気持ちが強いようだ。


父への報告は、予想以上に大荒れな展開となった。


「結婚は認めんぞ!」


蘭堂らんどう家の一人娘が結婚しないなど許されないと、お父様は常々つねづねおっしゃっていたではありませんか。お父様のお望み通りになって、一体何がご不満ですの?」


「お前はまだ十七ではないか、結婚など早すぎる。」


私が反論する前に、母がすかさず助け舟を出す。


「あら私だって、あなたと結婚したのは二十歳はたちの時でしたよ。」


喜久枝きくえ、お前は一体どちらの味方なんだ!・・・まあいい。友梨佳ゆりかあせって結婚しなくても、まずは大学に進んでもっと見識けんしきを広めていけば、お前にふさわしい相手が出てくるというものだ。」


わたくしもう決めてしまいましたの。いくらお父様のお言いつけでも、聞く訳には参りません。友梨佳ゆりか御門みかどさんと結婚いたします。」


喜久枝きくえ、お前も少しは反論しろ!」


いやですよ。だって私、このごえんに賛成ですもの。」


「あぁもう!・・・いいか友梨佳ゆりか、お前はその男にだまされているんだ!」


非道ひどい・・・御門みかどさんに会ってもいないお父様に何が分かるって言うの!?お父様の馬鹿!大嫌い!」

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