第5話メイドと仲良くなりました

バーバラがお茶を用意してきてくれるとの事なのでひとまずソファーに腰掛け汗を拭う…


「どうにか誤魔化せたかな…」


アヤカはフーっと息をはいた。


「性格が全然違う人を演じるのって大変ね…脚本でもあればいいのに…でもやっぱり…悪役令嬢系みたいねミリア様って…このまま普通にしといた方がいいのかな?それとももっと好感度上げるべき…」


アヤカが悩んでいると…


トントン…


「失礼致します」


「どうぞー」


アヤカが軽く返事を返すと、バーバラがワゴンにお茶を乗せて持ってきた。


バーバラがお茶を入れているのをじっと見ていると側までカップを持ってきてくれる。


「ありがとう~」


アヤカはお茶を受け取り一口飲むと…


「美味しい!バーバラお茶入れるの上手だね!」


あまりに美味しいお茶に驚き褒めると…バーバラは頬を染めて…


「ありがとう…ございます。お茶を入れて褒められたのは初めてで…嬉しいです」


「バーバラ可愛い!あっ!バーバラって呼んでもいいかな?」


アヤカが聞くと


「ミリア様の好きなように呼んで下さい」


バーバラが笑顔で返すと…アヤカの顔が曇る…


(そっか…私ミリア様なんだ…)


違う名前で呼ばれた事に…思わず寂しい気持ちになる。

異世界に来て初めての友達になれるかもと期待していたが…相手を騙してる事に今更ながら罪悪感が出てきた…


急に表情が暗くなったお嬢様にバーバラは心配になると…


「ミリアお嬢様、どうされました?お茶に何か至らない所が?」


バーバラの心配そうな顔に…


「ううん…大丈夫、とっても美味しいよ。ただ…ミリア…様って呼ばれるのが…ちょっと苦手で…」


ハハ…と元気なく笑って誤魔化すと…


「ではお嬢様とお呼びしますね、他にもして欲しいことや嫌な事があればなんでもおっしゃって下さい」


バーバラが真剣な表情でアヤカを見つめる。


「ありがとう…バーバラ…」


バーバラに優しくされればされるほど、罪悪感が募っていった…


少し一人にして欲しいと頼むと、心配そうにしながらも頷いてバーバラは部屋を出ていった…が…


「お嬢様…私は隣の部屋に控えてますので…用事があればいつでも呼んで下さい…私では頼り無いかもしれませんが…」


バーバラがすまなそうにすると


「ありがとう…その時は真っ先にバーバラを呼ぶわ」


アヤカはどうにか笑顔を見せると、バーバラも少し安心したように部屋を出ていった…


「はぁ…結構きついなぁ…」


アヤカは一人になるとベッドに横になる…


「うーん…なんか騙してるみたいだけど…お嬢様が戻ってきた時に二人が仲良くなれればいいんだもんね…ちょっと寂しいけど…二人の架け橋になれる様に頑張ろう!」


アヤカは再び一人になった所で鞄を引っ張り出して中身のチェックをする。


「えっと…途中までだったからなぁ」


携帯を取り出すとアプリを開く。


「これは多分物を収納出来るアプリだね…よく考えると凄く便利!異世界チートっぽいわー」


アヤカは自分が鞄にしまって置いた着てきた服を写真で撮ると…服が消える。

そしてアプリで確認すると確かに保存されていた。


「よし!大事な物はしまっておこう!」


アヤカは鞄の荷物を全て閉まっておくことにした。


「他にはどんな機能があるかな…」


収納アプリの隣のアプリを押してみると、地図が表示される。


「これは地図アプリかな?」


画面の端にカメラ機能が付いていたのでそこを押すと…inカメラになると自分の顔が画面に写る。


「うわっ!化粧してるからかな…本当にミリア様に似てるわ…」


自分のアップの写真を撮ると…


【記録しますか?】


また表示が出る…【YES】を押すと名前を記入する欄が出た…


「名前…」


アヤカは迷いながらもアヤカと打ち込むと、地図上に赤い点が表示された…。


「コレって…私のいる場所を示してるって事かな?」


でもなんの役に?


「他の人も表示できるのかなぁ…」


確かめたいが、それには携帯を見せて写真を取らないといけない…まだそれはしてはいけない気がしてアヤカは携帯を閉じた。


「使いすぎて充電が終わったら泣けるし…とりあえずここまでにしとこう…もしかしたら…寝て起きたら夢だったって事もあるかもしれないしね…」


アヤカはフカフカのベッドに寝っ転がると疲れていたのかあっという間に眠り込んでしまった…。

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