第7話 バンド

投稿が開いてしまってすいませんm(_ _)m

最終話もうすぐかなーとか考えてたら時間過ぎてました。



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「〜〜〜〜〜♪」


 今僕はゆいのバンドのライブに来ている。

 ゆいのバンドは音楽などを動画投稿サイトに挙げていて、まあまあな人気があったりするので、たまにこうした小さな会場でライブをしているのだ。

 バンドをしている時のみゆはとても生き生きとしていて、見ていて楽しい。




◆◆◆◆




「おつかれさま」


「ありがとー」


 みゆとバンドメンバーに飲み物とタオルを渡す。

 バンドのメンバーは、ボーカル兼ギターの山肌さん、ドラム担当の同じ学年の市川八戸そしてベースのみゆだ。


「裕也君は毎回まめだよね〜。彼女さんが大好きなのが伝わってくるなあ」


「あたしも彼氏が欲しいぜ」


 山肌さんと市川さんが笑って言う。

 ちなみに市川さんは身長が高く、髪の毛を染めていて外見から不良と思われがちだけど、根はとても良い人なのだ。


「今回のライブは投稿しないんだよね?」


「ライブに来てくれた……というより当選した人限定ってわけだからな」


 動画投稿サイトは僕たちが一年になってから直ぐ始めたもので、作詞作曲、動画の編集は僕が行なっている。


「ゆう君の作る曲っていいやつばっかりだよねー」


「確かに、初心者とは思えないよね」


「なんかこうしっくりくるよな」


「そんなに褒めても何にも出ないよ」


 こう率直に褒められると照れてしまう。

 

 作詞作曲などの技術は、中学の頃みゆの特技が音楽だと聞いて少し興味を持ち始めて、付き合ってからは力になるために必死に腕を磨いたのだ。


「まあ、私のゆう君だから当たり前だけどねー」


「ははは」


 信頼が大きくて嬉しい反面、少し荷が重かったりもする。


「あれ?そこにいるのってあの二人だ」


 そこにいきなり第三者の声が入ってくる。

 声の下方向を見てみると、見たことのない少女が制服で立っていた。


「裕也君の知り合い?」


「うーん、どこかでお会いしましたか?」


「ほら、前公園で人探ししてた時に……」


「ああーそう言えば途中で話しかけてきていたような……」


 その時あったことを思い出して少し頬が赤くなる。みゆの方をチラリとみると、同じだった。


「ごめんね、あの時良い感じだったのにお邪魔しちゃってたみたいで」


「そ、そんな事ないですよ!それよりも探してた人は見つかりましたか?」


 山肌さんと市川さんが興味津々といった目をしていたので、急いで話題を逸らす。


「あの後無事見たかったよ。まあ、今も絶賛迷子中なんだけどね」


 少女が頭をかいて笑いながら言う。

 そんな処に、いきなり知らない声が割り込んでくる。


「探したよ」


「あ、るー……ルイだ。ごめんごめん、ちょっと迷子になってた」


「本当に気を付けてね、君に何かあったのかと毎回ハラハラしてるんだら」


「ぜ、善処する」

 話し方とかから察するに、この茶髪の男の人が探していた人だろう。


「じゃあ私はこれで」


「次ははぐれないようにねー」


 二人は仲良さそうに歩いて行った。


「そう言えば名前聞くの忘れてた」


「まあ、良いんじゃない。特徴的な……さっきの女の子の顔ってどんな顔だっけー?」


「あれ、そう言われれば」


 さっきまで話していたはずなのに、女の人の髪の毛の色や顔の印象などが全く思い出せない。

 もしかしたら幽霊……


「お二人さん?良い感じだったとやらを聞かせてもらおうかな?」


 いきなりかけられた山肌さんの声によって思考が遮られる。


「あたしは何で彼氏ができないんだ」


「市川さんも病んじゃったし、しっっっかりと話してもらうからね?」


 山肌さんの本気の追求ほど怖いものは無いと思い知った日だった。

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