第4話 カレー

「はい、できたよ」


「ありがとー」


 ゲームもひと段落ついたので、少し前から仕込みをしていたカレーを振る舞う。


「やっぱりいつ食べてもゆう君の料理は美味しいよね」


「そう言ってもらえると嬉しいよ」


 みゆは僕がなにを作っても基本的に美味しいと言ってくれるけど、やっぱり食べてもらうまでは安心できない。


「私だったらこんな料理作れないもん」


「分量さえ守ったら作れるよ」


「そうかな……」


「多分……」


 前の料理の練習を思うと、一概にも言えないかも。


「な、なにか美味しく作るコツってあるかな?」


「分量を守る事と、手抜きしない事、一番大事なのは相手の事を思って作る事かな」


「ゆう君……」


「な、なに?」


「可愛い」


 何だか分からないけど、カッコいいって言って欲しいかったな。


「あ、そういえば今週の日曜日空いてない?」


「どして?」


「前みゆの服が全然無いって話してたから買いに行こうと思って」


 みゆは女子なのに驚くぐらい服を持っていないのだ。


「私はこれでも全然足りてるのにー」


「そう言わずに、僕の前ぐらいは可愛くしてくれたら……ごめん、何でも無い」


「なになに〜、そこまで言うんだったら買いに行こうかな〜。そこまで言うんだもんね〜」


 つい心の声が漏れてしまった。


「でも、おしゃれをしなくてもみゆは全然可愛いけどね」


「うっ」


 突然みゆが下を向いてしまう。

 どうしたんだろう?


「どうしたの?」


「変な時だけ無自覚。怖い」


 みゆはたまに変な事を言いだすし、まあいいや。


「僕たち数年後もこんな風に二人でいられてるのかな」


 ふと思う。今はこんなに仲が良くても、別れというものは唐突にやってくるものなのかと。


「いると思うよ〜。だってゆう君だもん」


「何それ」


 何故だかは分からないけど、みゆの笑いを見ているとそんな悩みはいつしか消えていた。


「確かに僕がいないとみゆご飯食べれなさそうだしね」


「そん事ないよー」


 彼女が少し頬を膨らませて言う。


 少しの間二人で笑い合った。

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