第2ワンコ

第7話 ワンコ来ました ①

 さて、一週間ほど経った頃、ペットショップから電話がありました。

 受けたのはめいとさん。

 ワンコが見つかったので、明後日にはお店で会えるとのこと。

 ところが、少々問題があるようです。


「で、ペットショップの人はなんだって?」

「はい、女の子が見つかったと」

「そりゃそうだろう。まさかオスはどうですかなんて言うわけない」

「十三万円だそうです」

「じゅっ……。ほー、この間聞いたよりずいぶんと安いな」


 家計にやさしいワンコの値段ですね。

(注:二十年ほど前の相場です)


「いえ、それには訳があるのです」

「ふむ、どんな?」

「普通ワンコは、生後ニヶ月ほどで母犬から離すそうなんです」

「ふむ。本にもそんなこと書いてあったな」

「それが、うちの子はもう四ヶ月なんだそうです」

「まだうちの子じゃないがな……」

「新しい飼主、つまりわたくしたちに慣れなかったり、環境の変化で体調を崩す可能性もなくはない、とおっしゃるのです」

「なるほど。弱そうな子なのかな?」

「現在の健康状態は良好だそうです。持病のようなものも見当たらないそうです」

「ならいいじゃないか」

「うちの子はどんな子でしょうね」

「だから……」


 めいとさんの中ではもう、うちの子確定です。

 この調子だと、密かに名前も考えているかもしれませんね。


「ともかく、その子に会ってみよう。ピンと来ないかもしれないしな」

「そうですね」

「ん」

「えっと、一緒に買うのはゲージと、おトイレシート、ご飯のお皿と、おもちゃと……」

「だからさ……」


 五月先生、無理だと思います。

 めいとさん、まだ見ぬワンコを我が家に迎えてます。

 今夜はお散歩の夢でも見るのですかね。

 さて、最初のお見合いで決まるでしょうか。

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