五月(ごがつ)とメイド〜3rdシーズン・ワンコと一緒〜

五月乃月

第1ワンコ

第1話 ワンコ飼いたい ①

 晴れ渡った空の下、長閑なある日の午後です。

 五月先生とめいとさん、縁側で日向ぼっこをしています。


 ペラペラ、ペラペラ……。


「ふふ、かわい」

「……」

「ふふ、にくきゅ」

「……」

「ふふふ」

「メイド?」

「なんでございますか、五月様?」


 ペラペラ……。


「気持ち悪い」

「そんなことございません。このお尻なんて、何とも言えない可愛らしさですよ」

「いや、お前のその笑い方が気持ち悪い」

「ぶぅ〜」

「なにがぶぅーだ」


 めいとさんが見ているのは、雑誌『ワンコのひとみ』です。

 飼主さんの個人ブログで人気になったシーズー犬のシーちゃんが、毎号載っています。


「私はその子よりお隣のワンコの方が可愛いと思う」

「そうですかねぇ……」

「なんだ、一緒に散歩行ったとき、転んで膝を擦りむいたのを恨んでるのか?」

「いえ、そんなんじゃございません」

「じゃあ、なんなんだ?」

「いえ、いいのです」


 パタン……。

 パタパタパタ……。


 うーん、なーんかめいとさん、おかしいですね。

 五月先生もその態度に、ちょっと引っかかっているようです。


「たしかに、膝っ小僧は痛かったです。でも、ちょこちょこと歩く姿、脚の裏をふきふきされているときの満足げな様子、ブラッシングされているときの気持ち良さそうな瞳、全部がかわゆいのです。……ワンコほしい……」


 ふぁっ、めいとさん、犬を飼いたいのですね。

 五月先生は許してくれるのでしょうか。

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