抑えた想い

ネタバレになります。先に小説をお読みください。
物語の終盤まで、まるで空気のように自らの存在を主張しない登場人物がいる。
姉を主人公に据え彼女の(主に妹に対する)心情を描き出すことによって作者は読者に姉妹二人のストーリーを追わせるが、読者は姉の語り口に何か抑えた想いを感じるはずだ。
物語のラストシーンで読者はこの小説が誰と誰の物語だったのか気づく。
そんなこと、タイトルを見ればわかるでしょ…と作者はほくそ笑む。
秘すれば花である。見事と言うほかない。

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