第2話 燃え勃つ炎のフォームチェック

「キャア! な、なにをしてるんですか?!」


 全裸で姿見の前に立つ真浦を見上げて未央は思わず後ずさった。

 手で顔は覆っているものの、指は目一杯開いて真浦の股間をしっかり凝視している。


「なにって、フォームチェックに決まってるやろ」


 頭上から声が降ってくる。

 事前に仕入れたデータどおり真浦はでかい。

 身長192センチ、体重125キロの超重量級バッターだ。

 がっしりとした筋肉質の体格で二の腕の太さは未央のウエストと同サイズだ。


 真浦はバットを構えると、

「よく見とけ」

 といってバットを姿見の前でフルスイングした。


 バチーン!


 という音が真浦の内腿で鳴った。

 股間のイチモツが腰の振りとともに彼の太腿をたたいたのだ。


「ええか、正しいフォームでバットを振るとイチモツがこの内腿の定位置に当たるんや」


 見ればなるほど、内腿の一点だけが赤くなっている。


「いいから、早くユニフォームを着てくださいっ!」


「なんや、出番か?」


 とぼけた調子で真浦がいう。


「出番だから呼びにきたんです!」


「まあ、慌てんな。出番はまだ先や」


 代打控え室のモニターで試合の流れは把握しているのだろう。真浦は未央に向かってズイと間を詰めた。


「な…なにを……?」


「あんた、思いつめた顔しとる。それじゃ勝利の女神になれへんぞ」


 そういうと真浦はグイとバットを持ちあげた。

 それは手に持ったバットではない。

 股間にある自前の極太バットであった。



 第3話につづく






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