第14話 深夜鈍行/ほらーな話


真夜中に徘徊する全てのにお送りする、

満っつる”コータロー”フェイエノールトの【深夜鈍行】。


今夜、一通目のお便りは、みそかつ県にお住まいのペンネーム”しゃーしぃ”様から。

「この前、『偏頭痛がヒドイんです』って話したら、すぐに『サロンパスを足裏に貼るといいかも』って教えてくださった方がいて。やってみたんですけど、全然効きませんでした。産毛も取れませんでした。サロンパス2枚損しました」

……あらあら。せっかくアドバイス頂いたのに、それは残念でしたね……。

まあ、教えてくれた方も好意からなんでね、そこはまあ、笑って許してあげてくださいね?


2通目のお便り。こちらはぐうたら県の”みっちゃん”さん。

「前回、白美人ハクビシンが出た、って言ったんだけど、他のリスナーさんに『役所に聞いた?』って聞かれたんだよ。あ、そういうのアリ? って調べて電話したら、やっぱアリなんだってさ。イャあ、これ以上、美人に出られたらブスにとってメーワクだからいいコト聞いちゃったよ~」

……おや。それはよかったですね♪ アドバイスが有効活用されて、教えた方も喜ばれることでしょう。


まあね、どちらのお便りもなんて言いますか、そう、心の交流?とか、暮らしの知恵袋?とか、えーっと、とにかく、このコロナ下でもリスナーの皆様方同士の暖かいふれあいが感じられるいいお話ですよねぇ♡



❖❖❖❖



……前振りが長くなりましたが(汗)


はい。電話してみました。市役所に。「ハクビシンが出たんですけど……」って。

以下、



「どのような状況で出ましたか?」

「えっと、北側の屋根にくっつくように柿の木がありまして、柿を食べに来たらしく1階の屋根の上に糞をしていきました。夜中に屋根の上を走り回ってる音も何回か聞きました」

「なぜハクビシンだと?」

「家の前にいるのを見たもので」

「なるほど。で、柿に被害があったということですね?」

「はい」

「それなら対象となります」

「?」

「単に庭やベランダに糞をされたとか庭を通り抜けられたとかでは補助対象にならないんです。果実や野菜などを食べられたとか屋根裏などに棲みつかれたとかの実害がないと」

「……では、『柿を食べた』と今、言わなかったら対象外だったと?」

「そうですね」

「あー。なるほど」

(……って別に食べてる所この目で見たワケじゃないんだけど。あくまで推測だけど。ま、言ったもん勝ちなのね?)


「では、業者さんに連絡しますね。多分、明日にはそちらに電話してもらえると思うんですが」

「そんなに混んでるんですか?」

「そうですね、依頼は多いので」

「……ってコトは……?」

「はい。野良猫と同じくらいの頭数がいると言われています」

「そ、そんなに!?」

「はい。ハクビシンもアライグマも、どちらも同じくらいいるそうですよ」

「ど、ど、どこにそんな……」

「夜行性なので人目に触れにくいだけで、もう市内全域に普通に生息しているそうです。頻繁に被害に遭うお宅には、年間通しての捕獲器の貸し出しもしています」

「1匹捕まって終わり、じゃないんですか?」

「何匹も続けて捕まるお宅も結構多いようですよ」

「……昼間はどこにいるんでしょう?」

「そうですねえ。アライグマやハクビシンは、手の甲をすぼめたくらいの大きさの穴があれば入れるそうです。ネズミだと五百円玉サイズですね。ですから、屋根でも壁でもそれだけの穴があれば侵入できますし、空き家ならもっと簡単ですよねえ」

「……台風とかで、気づかないうちにどこかに穴が開いていたらマズいですね……」

「ええ。繁殖力もあって、一度に4、5匹産みますし」

「……。」

「まあ、詳しくは業者さんから聞いてくださいね。お金は市の助成があるので無料ですが、捕獲器に入れるエサはそちらで用意してください。バナナやリンゴです。ああ、それから業者さんは土日休みなので、対応は週明けになると思います」

「分かりました。ありがとうございました」





深く考えることなくかけた電話で思ってもいなかった話を聞き、びっくりしました。


そんなにいるなんてヤバイよ野生動物。

田舎の話として、”山から野生動物が里に降りてくるようになって、田畑や果樹園を荒らす”テレビニュースを見る度に、「わぁ。大変そうだなあ」なんて思っていたけど、もはやコレは田舎だけに限った話ではないではないか。

そりゃもちろん、クマでもイノシシでもシカでもないけど。


とにもかくにも、昼間の電話で、夜中の今、うげ~……な気分です。




ほら、どこからか物音がしませんか?

うちだけでなく、あなたの家の裏側、もしかしたら屋根裏や床下あたりに、今頃、何かが潜んでいるかもしれません。何かを食べているかもしれません。

ひとではない、なにか。


時刻は真夜中。

……振り返ってみれば、そこには……。




ある夜中、寝ぼけた時、これはもうぐうたらしてはいられない、と思ってしまったのだ。

~コータロー「深夜鈍行」 第1便 柿宮殿 第1章 夜の光




❖❖❖





今夜の

満っつる”コータロー”フェイエノールトの【深夜鈍行】。

そろそろお別れのお時間がきてしまいました。


今回のお話は、次回にぬるく急いで続きます。

初めての企画ですが、さてさてどうなることやら。

お楽しみに……。


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