第4話 発表の目的 みんなへの問いかけ再び

 みんなの様子を確認した後、先生は、みんなに向かって、

「桐山さんが、頑張って挑戦しているのに、何で反応しないの?

頑張っている人を見捨てるのが、みんなでわかる授業なの?」

と問いかけてきた。

俺は、わかりませんって言うのは、自分があほみたいに思われるから嫌だった。

それに、発表している人もショックを受ける。

そんなこと、なかなか言えないよ、先生と思った。

みんなも口を閉ざして動かない。

そこで、先生は、

「みんなの授業像に近づくためにやった方がいいことは、何?

聴き手の人は、わからなくても黙って頷いていること?

それともわからないと発表者に言うこと?」

と聞いてきた。

「こういうことは、これからも起こると思う。

自分達がより良く成長する授業にするために、どっちがいいと思うの?

勿論、わからないの言い方は発表者が嫌な気持ちにならないように工夫すればいいと思うけど。」

とみんなを見回し、全員に聞いている目をしていた。

「考えて。

二分後に、どっちがいいか、手を挙げてもらいます。

理由も言ってくださいね。

わからない時、黙っているか、わからないと言うか、どっち?」

と付け加えてきた。

追い込んできた。

俺たちの決めた授業像を基に。

授業像実現のためには、応えないといけないだろう。

俺は、そりゃ、わからないと正直に言える方がいいけど、…。

理由はわからないと思った。

困った顔をしている子が多い。

それでも二分経ったら、先生は、

「聞きます。」

とはっきり言った。

逃げる隙を作らないテンポの良さだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る