ミッション6 人食い迷宮をぶっ潰せ!

第19話 ダンジョンマスター


 ◇ ダンジョンマスターの???


 地球で死んだはずの俺が目を覚ますと、そこには宇宙に浮かぶ神殿のような場所で、辺りを見渡すと誰かがソファーに寝そべっているのが見えた。

 小麦色の肌、魔性の美貌を持つ銀髪の美女だ。

 その姿を見た瞬間、たとえようのない恐怖を感じ、俺はその場で平伏する。



 怖い! 怖い! 怖い! 怖い! 怖い! 怖い! 怖い! 怖い! 怖い! 

 怖い! 怖い! 怖い! 怖い! 怖い! 怖い! 怖い! 怖い! 怖い!



 心は恐怖一色で染め上げられ、ただ額を床に擦り付けて慈悲を乞う。

 一目で分かった。

 これは人ではない。

 この存在に絶対に逆らってはいけないと。

 目の前の存在の気分一つで自分は殺される。

 それほどまでに、目の前の存在は圧倒的だった。



 彼女は、恐怖を感じて縮こまる自分に何かを話しかけてきた。

 何を言われたのかよく覚えてない。

 ただ、知らない道具の使い方が頭に流れ込んできたのを感じた。

 そして俺は気づいた。

 自分は強力な魔道具と、それの使い方を授かったのだと。



 神に力を授かる、つまり生前の俺の行いはやはり正しかったということか!

 生前の『あの行い』を認められたようで俺は嬉しくなる。

 何故か俺の行いは責められることが多かったからな。



 感謝する俺は彼女に名前を聞いたが、うまく聞き取れなかった。

 ニャルル……テロップと聞こえたような……?

 宗教にはあまり詳しくないせいか、俺にはどこの女神なのか分からなかった。

 こんなことならもっと学んでおくべきだったか。



『矮小なるものよ、好きに生きよ』



 女神がそう言って指を鳴らした瞬間、俺は迷宮の奥にいた。

 与えられた知識によると、どうやらここは日本ではないらしい。

 出来れば日本で甦りたかったのだが……。



 まぁ、いいか。

 とにかく俺は力を授かったのだ。

 こちらの世界で好き勝手にやって、王になるのも面白いだろう。



 俺はいつの間にか手に持っていた宝石を確かめる。

 これはダンジョンコアと言って、迷宮や魔物を造り出す魔道具だ。

 これをもらったということは、この力で好きに生きて良いということなのだろう。

 さっそく俺はダンジョンコアで迷宮を造り上げる。



 ただ迷路を作るだけでなく、方向感覚を狂わせるトラップも設置し、侵入者の心をへし折る心折設計。

 さらに即死トラップで守りを固め、魔物を大量に生み出し、周囲に攻め込むのだ!



 世界を我が手に! と息巻く俺だったが、迷宮生成で迷宮ポイントがほぼ尽きてしまった。

 一応、弱い魔物は作れるようだが、そんな雑魚は俺の迷宮にふさわしくない。

 俺に相応しいのはやはりドラゴンだろう。

 どうにかポイントを増やせないか?

 そう考える俺だったが、迷宮内で獲物を仕留めないと、命や魔力をポイントに変えられないようだ。



 仕方がない、獲物が迷宮に入り込むまで待つしかないか。

 最悪、外に食べ物を探しに行く必要がある。

 がっかりする俺は部屋の出口を探すと、出口付近に置かれた段ボールに目が止まる。



 なんだこりゃ?

 駆け寄って開けてみると、中には保存食と水が入っていた。

 アフターサービスも万全とは!

 やはり俺は選ばれたのだ!

 よし! 食料もあることだし、外の探索は後回しだ。

 先にダンジョンコアの使い方だけでも熟知しておこう。

 俺は頭の中に植え込まれた知識を整理することにした。



 転移5日目。

 寝床で昼寝していた俺だが、入り口が騒がしいことに気づいた。

 どうやら獲物が来たらしい。

 目を閉じて、意識を飛ばして見ると、学生服を着た団体がいた。

 残念なことに全員男だ。

 なんとむさ苦しい!



 む? あの制服どこかで見たような……?

 まぁ、気のせいか。

 全員殺して俺の養分になって貰うとするか!



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