第6話 妹と祝福

 こんにちは、トラウです。初めてのお茶会から二年が経ちました。遂に五歳。祝福を受ける年になりました。この二年の間はほんとに長かった。そして朗報。僕に妹ができました。今は一歳とちょっと。まだ歩けないが、「にーに。」と指をさしながらしゃべった時は、悶死するかと思った。シスコンブラザーここに爆誕である。うちの妹、まじで可愛いから。溺愛するつもり満々である。

 もちろん、お茶会などの社交の場も何度かあった。サクラさんとも喋れて少しずつながら関係は進展中だ。

 もちろん魔力を伸ばす訓練は続けているし、スキルに関しても特訓中だ。ただ、既にスキルが使える事は両親にも秘密にしているので、それほど大々的に特訓ができているわけではないのが現状だ。現在のステータスはこんな感じ。


 名前:トラウ・フォン・フラメル 年齢:5 性別:男


 job:大賢者 Lv:5 加護:創造神


 HP:91(+16)

 MP:3618(+1051)


 STR:51(+11)

 DEF:56(+14)

 INT:866(+83)

 RES:84(+23)

 DEX:199(+63)

 AGI:59(+12)


 スキル:全知の書庫アカシックレコード 鑑定 錬金術 錬成術 付与術 魔力回復速度増加 言語理解 魔力感知 魔力操作 魔力纏 魔力操身 礼儀作法


 0~3歳の時より伸び率は落ちている。多分、赤ん坊の時のステータスがかなり低くなっていて、成長とともに急成長するからだろう。スキルに関しては、関連付けによる新たなスキルの発現はなく、ぱっと見変わっていない。ただ、魔力纏などのスキルの効果は大きくなっていて、隠しステータス的な、熟練度システムがあるのだと予測される。そういえば一度父上とステータスを聞いて比べてみたのだが、父上のステータスはこんな感じだった。


 名前:ブロウ・フォン・フラメル 年齢:27 性別:男


job:文官 Lv:13 加護:学芸神


HP:196

MP:391

魔法属性:水,氷


STR:134

DEF:132

INT:517

RES:139

DEX:227

AGI:134


スキル:高速書記 写書 高度算術 行政 指揮 魔力感知 魔力操作 剣術 礼儀作法



 jobは文官、スキルもほとんどが文官向けスキルだ。ただ、魔力感知、魔力操作、剣術の三つは貴族だとほとんどが持っているらしい。なぜなら貴族は、10歳から成人までの間、学園に通うことが慣習となっているらしく、馬鹿にされないためにも必須のスキルだとか。そのため、貴族はステータスが分かるとすぐに家庭教師を雇い、習い始めるそうだ。少し楽しみである。

 ちなみに学園には庶民も少なからずいるようで、授業は魔法と剣術の授業の他に、座学が幾つかあるそうだ。座学は必修が算術と歴史の二つと、あとは選択制で、医学、薬学、軍事学、経済学、地理学の中から二つ以上選ぶ仕組みらしい。

 僕は、経済学と薬学を選ぶつもりである。

 魔法属性は水と氷らしく、髪の色とイメージが同じだった。この世界の基本属性は五つで、それぞれに上位属性がある。火、水、風、土、無が基本属性で、炎、氷、嵐、木、音の五つが上位属性だ。上位属性のうち、炎と嵐はそれぞれ火と風の上位互換。氷はその名の通り、水属性魔法を凍らせたもの。木は、周囲の植物を操る魔法。音は、無属性の魔力を衝撃波に変えたりして攻撃するらしい。これら10個の属性の他に、個人属性と呼ばれる、レアな属性もあるようだ。

 また、父も加護を持っているらしく、驚いていると貴族は加護をもらいやすいという事を教えてもらった。

 ステータスは、レベルが高いこともあって父上のほうが高いところも多いが、すでに抜いているところもある。やはり、大賢者のステータス上昇補正はすごい。

 そんなこんなで祝福当日。家のみんなが勇気づけてくれながら、家を送り出された。使用人は「お坊ちゃまならきっと素晴らしいjobやスキルを発現させるでしょう。」と言ってくれたり、母上は「まあ、肩肘張らずに行ってきなさい。どんな結果になろうとも、諦める必要はないのよ。」と言ってくれた。既に自分のステータスがわかっている身としては、少し罪悪感があるのが事実だ。馬車に乗って領内の町の教会まで出向く。馬車はひどく揺れるので嫌いだし、目立つので歩いていく、といったのだが説得はできなかった。なので、渋々と馬車に乗り込む。こんな揺れる馬車、前世の技術で改良したいものだ。スプリングだけでもましになるだろうか。オイルサスペンションもつけたいところだ。

さて、すでにステータスが出ている状態での祝福なんて何分前例がないものだから少々不安である。全知の書庫によれば、悪い事態には陥らないようだが、やはり不安は付きまとうものである。

なーんて考えていると、町の教会が見えてきた。身分にかかわらず、すべての民に祝福は授けられる。人によっては、スラム上がりの超有名冒険者なんてのもいる。この世界には戸籍なんてものはない。全員揃ったかなんてものは確認する術はないわけだ。なので、六刻目を過ぎたら開始らしい。先頭から順に祝福が授けられていく。落ち込むもの、喜ぶもの、微妙な顔をするもの。様々な反応が見られる。目の前にいる少年少女4人組は、

「お前jobなんだったー?俺剣士だったー。」

「僕は魔道士だったよ。」

「あたしは斥候ね。」

「私は回復術士でしたぁー。」

「おー。俺らバランスいいじゃないか。全員で鍛えて世界最強の冒険者になろうぜ!」

「えぇー、僕そんなの怖いよ。」

「私も同感ですぅ。」

「大丈夫よ。今までも4人でなんでもしてこれたじゃない。」

「そこまでゆうなら、まぁ。」

「私も皆が冒険者になるなら、そうしますぅ。」

なんて事も言っている。やっぱり誰もが憧れるよね。世界一の冒険者。

そして、遂に僕の番がやってきた。

「目をつぶり、手を胸の前で組んで、神に祈りを捧げるのです。生まれさせてくれた感謝を伝えるのと、これからも見守ってくださるように。」

神父の言葉に合わせて、神の像に対し祈りをささげる。この世界は偶像崇拝式のようだ、などと考えていると、周囲の音が聞こえなくなる。ふと目を開けると、周りは真っ白い部屋になっていた。あたりを見渡していると、


『お久しぶりですね、日野奏多さん。いや、今はトラウさんですか。』


神様の声が響いてきた。






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