第10話 お待ちかねの魔法

いまなんか鳴ったよね?


例のやつ。



◇◇◇◇◇◇◇◇

名前 マモル

種族 人族

年齢 25

レベル 1

体力 98/100

魔力 60/100

スキル 【温泉】

〈水魔法〉

水を生成し消滅することができる。

レベル1で最大1L

消費MP1(生成・消滅セットでも片方でも消費MP1)


〈火魔法〉

熱を操ることができる。

レベル1で1kgの水を最大36度に熱せられる熱を操れる。

消費MP1


〈土魔法〉

任意の鉱物を生成することができる。

レベル1で1種類最大1kg

消費MP10


〈回復魔法〉

あらゆる症状を癒すことができる。

レベル1で軽度の傷病の治癒

消費MP10


〈収納魔法〉

時間停止で物を収納できる。

生物不可。

レベル1で脱衣かご程度の容量

消費MP1


◇◇◇◇◇◇◇◇


「おお、ラッキー!」


「どうしたの?マモルおにいさん」


「ん?いや。なんでもない。ちょっと魔法を思い出したんだ」


「えーなんの魔法?」


「いまやって見せるから、その陰の方に行こう」


「うん」


これは、定番のチート臭プンプンなヤツだから一応念のためだ。



「じゃあ、いくよ?」


「うん!」


ミミが目を大きく見開いて、俺のことを凝視する。


「ストレージ」


俺は、両手に持っていた荷物をひとまとめに置くと、それに向かって詠唱した。


「わーー!!」


「・・・」


『ピコリン』


目の前の荷物の山が一瞬で消え、ミミが口に手をあてて驚く横で、俺はしばし呆けていた。



「ねえねえ、マモルおにいさん!荷物どこ行っちゃったの?」


「あ?ああ」


ミミに揺さぶられて、我にかえる。


そして、もう一度詠唱する。


「レストア ストレージ」


さっき仕舞った荷物が復元された。


「これが収納魔法だ。便利だろ?」


「すごーい!」


「このことは、ほかの人には内緒にな」


「なんでー?」


なんて説明したらいいんだろ。


「二人だけの秘密じゃダメか?」


「ん~・・・わかった!二人だけのヒミツー!」


「ありがとな」


俺はお礼を言って、ミミの頭を撫でた。


「「ぐ~~」」


その時、二人のお腹が同時に鳴った。


「お腹減ったな?」


「うん、すいた~」


「食堂とかあるか?」


「1こだけあるよー」


「じゃあ、そこに行こう」


「うん!」


俺はミミの案内で、食堂に向かった。


ん?なんか忘れてないか?


・・・ま、いいか。



「ここー」


ミミが指差す方に、確かに食堂があった。


「シンちゃん食堂・・」


ん~なかなか味がある名前だ。


「いらっしゃいませー」


俺たちが店に入ると、元気の良い声が出迎えてくれた。


恰幅のいいおばさんだった。


「空いている席に座ってちょうだい」


給仕をしながら、そう言ってくる。


昼時というのもあって、結構混んでいる。


俺たちは、窓際の角のテーブルに座った。


「おや、ミミちゃんじゃないか。お母さんは良くなったのかい?」


注文を取りにきた、おばさんが言った。


「うん!もうすっかり元気」


「そう、それは良かったねえ。風邪をこじらせたって聞いてたから心配してたんだよ」


おばさんは、ミミの頭を撫でた。


「あれ?こっちの人は初めて見る顔だねえ。新しいお父さんかい?」


ちょっとおばさん、そんな冗談言っていいの?


俺は、思わず固まってしまった。


「違うよー!マモルおにいさんだよ。お母さんの病気を治してくれたの!」


とりあえず、大丈夫そうだな。


「へー。あんた、薬師様か治療師様かい?」


「いえ、違いますけど・・・あっ、すいません。注文いいですか?」


「もちろん、いいわよ。なんにします?」


なんとか、話をそらせた。


「じゃあ、隣のテーブルのと同じ肉の焼いたものと、そっちのテーブルに出てる煮込み?ですかね、それと・・サラダなんてありますか?」


「サラダ?なんだいそれは?」


「え?あの、サラダって言えば、生野菜にドレッシングとか塩なんかがかかっている・・」


「野菜を生で食べるのかい?ドレッシングってのはなんだい?野菜なら、茹でたイモならあるけど」


「じゃあ、それで。あとパンもお願いします」


「あいよ」


サラダもドレッシングも無いのか・・。


生野菜が無いってどういうことだろう?



出てきた料理は、うまいことは旨いのだが、基本的に味付けが塩と香草類だけなので、正直物足りなかった。


肉自体は、旨味が強くて俺好みではあったんだけど。



昼飯を食べて店を出ると、ミミに村の中を案内してもらいながら、ミミの家に寄ったあと宿へと帰った。



「・・203号室」


部屋の鍵をもらい場所を説明された部屋に入ると、ベッドに倒れ込んだ。


「ふーー。なんか疲れたな」


初めてみる天井を見つめながら、呟いた。


ようやく、ひとりになれた気がする。


昨夜も村長の家の客室で、ひとりになってはいたけれど・・。


なんというか、自活しはじめたって感じかな?


「ファ~あ」


眠くなってきたな。


「夕飯まで一眠りでもするか」






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