辺境のヘレティックス

北森青乃

第1章 辺境の村

第0話



 あぁ、この無数に広がる星達を羨ましく思ったのはいつからだろう。

 ……物心ついた時には、常にそう思ってたっけ。


 ん? あの時の事? ……よく覚えてるよ。

 というより、忘れられる訳がない。


 何もかもが平穏で平和で退屈で、村の人達の溢れる笑顔に笑い声。

 それが毎日……永遠に続くと思ってた。


 けど、それは一瞬だったよ。


 秘密基地から見下ろした村の光景なんて、最初は信じられなかった。

 だってさ? 


 いきなり地面から岩が突き出て来るなんて有り得ないだろ? 

 ものの数秒で、何もかもが壊れるなんて夢みたいだろ?


 でもそれは間違いなく……現実だった。


 ……っと、ついつい湿っぽい話になっちゃったな。


 確かに悲しいよ。生まれた場所が無くなったってのも……その他にも色々さ? でもおかげで、


 俺達は気が付けた。

 自分達の意志で歩く事が出来た。

 そして、皆に出会えた。


 …………そろそろ時間かな? 


「メテル、フィービ、ヘライア、ネレティス。ホノカ、アスカ。一緒に来てくれてありがとう」


 正直俺達がやろうとしてる事が正しいかなんて分からないよ。けど、後には戻れない。戻る居場所さえないだ。だからこそ、後悔なんてしてない。例え誰かに……世界に……



「そして今この瞬間、俺達は」



 なんて言われようとも



「辺境から来た……」




 ―――ヘレティック異端者だ―――



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る