十一 .


「最後に入る言葉は、『皓々こうこうとしている』――で、し、た」

 允桧は椅子を跨いで座る格好をして、後ろの机でノートを広げて話した。


「そりゃ、虚しく広いって意味だなァ……」

「は?」

 俺は思わず声を漏らしてしまった。

「華木は鋭いなぁ。そう、ミネみたいな明るさ、ね!」

 允桧はノートの文字をなぞりながら、頬杖をついて言った。


「俺みたい? 余計わかんねぇ」

 俺は腕組みをしながら、ため息混じりな声で首を傾げた。


「でも本当の意味があんだろ?」

 華木はにやけながら、允桧に言葉を返した。


「ふふ、うん」

「教えろよ」

「ダメ」

 そう早々と返事をすると、綴った詩を書いたノートをぱたんと閉じた。

「何でだよ」

 俺は直ぐ様允桧に言い寄る。

「――そりゃ……」



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