第5話 前門の虎…後門の狼…だっけな

「誰かいるの~?」

 JCがレーダーの後ろからヒョコッと顔をだして崖下を覗き込む。

「GIジョーが上って来る…」

「なんで海兵が崖上ってくるんだ?」

 崖下では大柄の男が怒鳴っている。

「アレがタダノ大佐なのかな」

「スイヘイリーベ、僕の船」

 JCがGIジョーを見てボソリと呟く。

「七曲りシップス…クラーク牛乳って…どういう意味なんだろうな?」

 レーダーがJC聞き返す。

「おいおい…何を見ているかと思えば海兵さんの大群かよ…」

 ブッシが崖下を覗き込む。

「なるほど…」

 ドライブがおもむろに石をGIジョーに投げつける。

 ゴンッ…

 鈍い音…転がり落ちるGIジョー。

「アハッ♪」

 JCも真似して石を投げつける。

「おいおい…敵と決まったわけでも…ない…こともないな」

 レーダーは、主砲をぶっ放してきたことを思いだし、石を投げつける。

「そういうことだな」

 やるべきことを悟ったようにブッシも石を投げ始めた。

「ちょっとだけ…ちょっとだけだけど、面白くなってきたわ」

 JCがニタリと笑う。

(なんだろうな~この娘は)

 レーダーが不思議そうにJCの横顔を眺める。

(この先の指示…あるんだろうな?)


 ………

「ファアーック‼」

 甲板では転がり落ちる兵士と落石に苛立つサー・イェッサー大佐が我慢の限界を超えようとしていた。

「もう我慢ならん‼ 崖の上の連中をヘルの3番街に送り込んでくれるわー‼」


 ノシノシと艦内に消えていくサー・イェッサー大佐。

 しばらくして戻った大佐の背中にはロケットマン装備が施されている。

「俺に続けーーーー‼」

 ボシュッ‼

 勢いよくガスを噴射して大佐の巨体を宙へ浮かすロケットマン装備。

「続けー‼」

「サーイェッサー‼」

「貴様ら俺を呼び捨てにするなーーーーーーー‼」

 エコーを残して大佐は崖上に飛び去っていった。


 ………

「なんか飛んでくるわよ」

 JCが崖下を指さす。

「飛んできてるな」

 レーダーが頷く。

「なんか怒鳴ってるわよ」

「怒鳴っているな」

「アレがタダノ大佐じゃないのかレーダー」

 ブッシがアレに石を投げつける。

「それくらいじゃ堕ちそうにないな」

 ドライブが車へ向かって歩き出す。

「そういうことだな…撤退だ」

 レーダーが後ろを振り向く

 ヒュンッ…

 レーダーの耳を何かがかすめた。

「おいおい…」

 学生服の男が振り下ろしたゴルフクラブが地面にめり込んでいる。

 ギロッと上目遣いでレーダーを睨む学生服の男がゴルフクラブを振り上げる前にレーダーが足で柄を踏んづける。

 チュインッ…

 レーダーの耳を再び何かがかすめる。

「ファッキュー…ガーイズ‼」

 崖に降り立つ銃を構えた大柄な外人。

「おいおい…」


(前門の虎…後門の狼…だっけな)



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