　「ねえ、パパ。お月（つき）さまにウサギさんが住（す）んでいるってホント？」

「そうだね、ウサギさんがお餅（もち）をついているって言（い）う人（ひと）もいるね」

「お友達（ともだち）のお家（うち）でウサギさんを飼（か）っているんだけど、ボク、見（み）たことないよ。お餅（もち）ついているところ」

「そう言（い）えば、パパも見（み）たことないな。それに、お餅（もち）を食（た）べているウサギも見（み）たことがないよ、一歩（いっぷ）」

「じゃぁ、ウサギさんの好物（こうぶつ）はな～に？」

「ウサギの好物（こうぶつ）って言（い）ったら、そりゃニンジンに決（き）まってるよ」

「でも、ママは『赤（あか）い色（いろ）の野菜（やさい）じゃない』って言（い）うんだよ」

「じゃぁ、ニンジンじゃないか～」

「ママが言（いう）うにはね、『ボクの嫌（きら）いな野菜（やさい）だよ』って」

「一歩（いっぷ）が嫌（きら）いな野菜（やさい）か～。もう、ニンジンに決（き）まってるよぉ～。絶対（ぜったい）、ニンジンじゃないか～」

「じゃぁ、ウサギさんも、コーン・フレーク食（た）べるかなぁ？牛乳（ぎゅうにゅう）かけて」

「ニンジンじゃなくて、コーン・フレークかぁ。もしかしたら、ニンジン味（あじ）のコーン・フレークなら、食（た）べるんじゃないか～」

「それだったら、ボクも食（た）べられるかもしれない！　ニンジン味（あじ）のコーン・フレーク」

「じゃぁ、一歩（いっぷ）、コーン・フレーク味（あじ）のニンジンは？」

「コーン・フレーク味（あじ）のニンジン？　そんなニンジンないよ、パパ～」

「やっぱり、ないか～」

「ねぇ、パパ。ボク、ミルクボーイになりたい」

「あれっ？　一歩（いっぷ）、　お月（つき）さまにウサギはいるんだっけ、いないんだっけ？」

「？？？　ア・ハ・ハ・ハ・ハ…」

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