18、正直にいうと、おっぱいが好きです。


「テッ……ちゃん」


 彼女がはぁと息を吐き出す。その息はいつもより甘く、耳に当たるととろけそうなほどに心地よかった。


 つま先から太ももまで指をすべらせる。白い素肌を撫でると、春姫はくすぐったそうに、足を動かした。


「や……ん」


 頭が熱い。俺はそのまま空虚に腰を動かし、セックスごっこを始めた。やり場のない情動を力に、俺は想像の中で春姫を犯した。


 腰を動かす。


「は、ぁ」


 呼吸は小刻みに、徐々に激しく。


 春姫が俺の背中に手を回す。彼女の気持ちが少しだけ分かる。俺の動きに応じて、彼女が反応してくれるのが、こんなにも嬉しい。


 自分の中のものが硬くなってくる。


 頭の中で、春姫を何度も貫いた。あえぐ彼女を想像して、揺れる乳房を妄想した。


 暗闇の中では全てが自由だ。


「あっ、うぅ」


 苦しげに彼女が声を漏らす。


 その声すら愛おしい。春姫か出てくるもの、中にあるものを包んで、口の中に入れてしまいたい。食べてしまいたい。


 可愛い。


 美しい。綺麗だ。


 春姫のいやらしい声で、身体の隅まで埋め尽くしてしまいたい。


 混じり合い、触れ続けていると、境目がわからなくっている。本当につながっているみたいな気分になっている。


 これでそうなら、ごっこじゃなくなった時、その感覚はどれほど気持ちの良いものなんだろう。


「あんっ……」


 ……いっそこのまま。


「たっだいまー!」 


 バタン、と玄関のドアが開く。


 どんどんと軽快に階段を上ってくる音が聞こえてくる。


「やば」


 俺と春姫は飛び上がるように、起き上がった。春姫は乱れた髪を直すと座布団に座り、俺は服装を直して何事もなかったようにベッドの上でうつ伏せになった。


 何も知らない猪苗代が、満面の笑顔で部屋のドアを開けた。


「おっすおっすー。いやぁ、まじで遠かった。外、あっついわー」


 そして猪苗代は俺たちを見回して、


「あれ? 二人ともなんでそんなに汗だくなの?」


 と不審げな顔で言った。

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