白と黒とつむじ風「武蔵野バージョン」
源ガク with ネコさん and 妻
プロローグ
「もうダメだ、諦めた訳じゃないけど諦めた。つまりは不可能だ。いや、まだまだやれる。スタート地点が変わってしまったのだ、よく準備もせずスタートをきったのだ。そんな僕だからうまくいくはずもない、だからこそ意味があるんだ。」
その夜、健史はそんなことを考えていた。
イッタイゼンタイこの健史という男は何をするつもりなのか。それについての見解を、僕はこの時ほとんどもっていなかった。
紹介が遅れたが僕、坂上幸助は話のわかる男である。僕が健史のブログに興味を持ったのは、健史があまりにも真面目で、あまりにもバカで、あまりにもかわいそうで、あまりにも僕に似ていたからである。
よくある事だけど健史には彼女がいない、よくある事だけど彼には兄弟もいない、ほんとによくある事だけど彼には支持政党もない。
そんな彼だからという訳でもないだろうがポンジュースが好きだ。
そして大方の予想通り彼はファミレスの厨房でアルバイトをしている。そのわりに、友達もいない。
よくある事だけど僕には彼女がいて、よくある事だけど僕には兄弟がいて、ほんとによくある事だけど僕の親はそこそこの金持ちだ。
そんな僕だから当然ポンジュースが好きだ。
そして大方の予想通り僕は働いていない、ボンボン大学の2年生だ。
そんな僕らが似ているのはなぜなんだろう?だから僕はますます健史に興味を持った。
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