お試しで後輩と付き合うことになった。俺が好きなのお前なんだけど?!

@1ya12ma2to

第1話

 春、それは始まりの季節。

 学生ならクラス替えや、入学などでの新しい人達との出会い、そして今までは経験のしたことのないことが体験できる素晴らしい季節。

 と、そんなつまらない語りをしている俺は、

周藤 唯人(すとう ゆいと)高校二年生。

 別に今年からこの高校に通っているわけでもないので、ドキドキもくそもないんだが。

 まあ今年も平和・平穏の二つを目標とし、

学生生活を送っていこう。

 朝から学生らしからぬ考えを掲げていると、

「え、なにあの子めちゃくちゃ可愛くない?」

「確かに!それにちっちゃいのもチャームポイ

 ントだよね!」

「あの子多分新入生だよな。まじで天使みたい

 だな」

「彼氏とかいるんかな。狙ってみようかな」

 いきなり周りがざわざわし出した。

 何か変わったことあったっけ?

 少し思考を巡らせていると、

「せんぱ~い!久しぶりです!」

……何か聞き覚えのある声が聞こえた気がしたが気のせいだろう。

 あいつがこの学校にくる目的はないはずだ。

 そうだそうに違いない。ということで無視を決め込もう。そうしようとしたのだが、

「お~い、せんぱ~い!……意地でも無視する気ですか。分かりましたよ」

 やばい、とてつもなく嫌な予感がする。

「唯人せんぱ~い!愛しの後輩が会いに来まし

 たムグッ!」

「分かった分かったから俺の平穏を壊さないで

 くれ!」

「プハッ!いきなり再開早々激しいですね」

「そう言う際どいことを言うんじゃない!」

 俺の目の前に立っているのは、身長140センチ位のロリ体型の美少女。

 髪は明るい茶髪をボブカットにしていて、顔のパーツはこれでもかと整っており、中学時代から男子には大人気の女子生徒だった。

 だが一つ欠点があるとすれば、

「き、君たち二人はどういう関係かな?」

「は?話しかけないでください。気持ち悪いで

 す」

 俺以外の男子に辛辣すぎるところぐらいたろうか。




♡○♡○♡○♡○




「お前相変わらず俺以外の男子に辛辣だな」

 今は昼休み。朝の出来事が当然スルーされることはなく、高校生活で一番話しかけられたと感じるくらい質問責めにあっていた。

「未だに男嫌いは直せてないんですよねー」

 朝の事件の元凶の後輩を軽く睨む。

 彼女の名前は、深山 鈴音(みやま すずね)

俺の一つ下の後輩でもあり、中学からの知り合いでもある。

 何故か分からないがある日いきなり俺に絡んでくるようになったがその理由は未だに教えてもらっていない。

「さて、朝の件についても俺が気になることに

 ついても洗いざらい話してもらおうか!」

「えー全部言わなきゃ駄目ですか?」

「当たり前だ!俺は仲の良い奴らの誘いを断っ

 てここにいるんだ」

「えっ!先輩友達いたんですか!それが一番の

 驚きなんですけど」

「よし一回殴ろうか」

「じょ、冗談ですって」

 明らかに冗談の目ではなかったが、そんなことは置いといて本題にはいる。

「じゃあまずこの学校に入った理由は?」

「先輩に会うために決まってるじゃないです

 か!」

「そう言う嘘は良いから」

「………嘘じゃないんだけどな」

「?何か言ったか?」

「いえいえ!入った理由は、特にありません」

「はあ?何となく?」

「はい、何となくです」

「ま、まあいいや。次に何で朝にあんなことを

 した?」

「先輩が無視するからじゃないですか」

「いや別にあんなやり方じゃなくても良いだ

 ろ!普通に声かけるとか!」

「それじゃあつまんないじゃないですか」

「全てに面白さを付け足そうとするな!」

「まあまあそんなことより」

「そんなことよりってお前なあ……」

 と、今までのおふざけモードから一変急に真剣な顔つきでこちらを見てくる。

「な、何だよ」

「先輩、好きな人出来ましたか」

「へっ?」

「好きな人ですよ好きな人」

 急にドストレートに聞いてきたなぁ……。

 だが、俺にも好きな人ぐらいいる。

………………………………俺の目の前に。

「好きな人ぐらいいるぞ」

 お前だよお前。

「そ、そうですか」

 心なしか悲しんでいるような……。

 気のせいだろう。俺が好きな人がいてもこいつに関係ないからな。

「じゃ、じゃあこんなのはどうですか!」

「何だ?」

 朝以来の嫌な予感が、

「お試しで付き合ってみませんか?先輩?」

 ほらな、いきなりぶっ込んできやがった。


 

 

 

 

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