△04▽ 俺も混ぜて

「オ、オレは……」


 なにか言おうとした誠実の言葉を、灰時がさえぎる。


「ふーん。そっか、そっか。それじゃあ、誠実くんは今日参加しないみたいだし、二人で続きしよっか」


「はあっ⁉ ちょ、灰時⁉」


 そう言って、灰時は再びくららにおおかぶさった。


「くらら……」


 先ほどのように、またキスの嵐が降り注ぐ。


「あッ! ちょ、だめ、そこは……、っあ、んッ……!」


「っ……‼」


 扉越しに、誠実の息を飲む声が聞こえたような気がした。


「はッ、ぁ、……んんっ!」


(どうしよう……。このままじゃ……! 誠実……!)


 灰時のことは好きだが、このまま誠実をないがしろにしたような状態で灰時に触れられるのは何か、違う気がする。


 だが、それより何より、純粋に誠実に傍に来てほしいと思ってしまうのだ。たとえそれが、自分のただのままだと分かっていたとしても。


「……ちょっと、待ったああああぁぁああっ‼」


 その瞬間、突然大きな声が響く。


 何事かと思い声の方を振り向くと、誠実が部屋に飛び込み、すぐさまくららから灰時を引きはがした。


 荒い息を吐きながら、誠実は灰時をにらみつける。


「に、兄さんっ! いい加減にして下さい‼ 無理強むりじいは、良くないです!」


「誠実くん……」

「せ、誠実……」


 誠実のあまりの勢いに、くららが思わずあっけにとられていると、


「姉さんッ……!」

「ぅんッ……⁉」


 眼鏡を外しながら、勢いよく振り返った誠実に、強引にキスされてしまった。


「うっ……んっ! ぁ……ふっ、ぅ、ぁ……」


 突然のことに驚いたものの、誠実が来てくれたことの嬉しさと、その唇の熱さに、身体が一気に熱を帯びていく。


「姉さん……。オレだって、姉さんのこと大好きなんです……。はぁっ、んっ……。 だ、から……、そんな顔で、兄さんのことばかり見ないで……」


 口づけながら、必死に言葉を紡でいく。その誠実の切なげな表情がくららの心をさらに震わせた。


「誠実……! ッ! あっ……!」


 くららからも言葉を伝えようとするものの、誠実からの激しい口づけでなかなか思いを伝えることができない。


「もっと……、オレのことも見て下さい……! もっと、オレを愛して……」


「ふっ、ぁ……。せ、誠実……! ちょっ……! んッ……⁉」


 強引に入り込んだ誠実の舌がくららをき乱していく。


「姉さん……。はぁっ、んんっ! ……す、き……。ふっ、ん……、もっと、欲しい……」

「……っ‼ せ、せい……ぁ、んっ……!」


 さらに深くなっていくキスに翻弄されていると、誠実の手がくららのあらわになった太腿ふとももにそっと触れてきた。


(なっ……! どこ触って……⁉)


 次第に動きが大胆になっていき、その手が徐々に上へ上へと迫っていく度に、くららの鼓動もさらに早くなっていく。


(これ、このままだとまずくないか……⁉)


 この後の展開を想像すると、正直いきなり過ぎるような気もして不安になる。いや、決して嫌な訳ではないのだが、心の準備がまだ出来ていないというか……。いや、灰時とはそういうことするつもりだったのだけれども。


 呼吸もままならないような激しいキスを受けながら、いつの間に回り込んだのか、ふいに後ろから、くららの腰を灰時が抱きしめてきた。


「――ッ!」


「二人ばっかり、ずるーい。……俺も混ぜて?」


 明るい声で言ってきたかと思えば、最後はあやしく耳元で囁かれる。


「灰っ……!」


 囁きながら、灰時はくららの腰に回した手を、そっと上にわせていく。もう、ほとんど脱げかけている上の下着の隙間に手を滑り込ませ、胸元を執拗しつように撫で回す。


「~~ッ! ちょ、あぁっ……‼ そこッ……⁉ だ、だめ……ッ、ぁ、んんッ‼」


 灰時の手が自分の敏感なところを攻める感覚に耐えられなくなり、やめろと言おうとするも、誠実にすぐ唇を塞がれるため、それも出来ない。


 二人から激しく愛されていくうちに、もはやどちらに感じているのか、くららはよく分からなくなってきていた。


「くらら……」

「姉さん……」


 二人から同時に呼ばれ、さらに攻め立てられていく。二人から与えられる甘い刺激に耐えられず、くららはとうとう意識を手放したのだった。

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