第一話:海にいた影

 僕が小学六年のときに体験した話なんだけどさ、ちょっと暇潰しにでも聞いてよ。


 僕の家は、毎年夏休みになると千葉の海沿いにある従兄弟いとこの家に一週間くらい泊まりに行くのが恒例行事みたいになってたんだ。


 海までは本当にすぐの距離で、歩いても五分かからないくらいの場所でね。


 日中は三人で海水浴したり、砂浜でスイカ割りしたり、大人たちが一緒のときはバーベキューなんかもやったりして、まさに夏の思い出作りの見本みたいな感じで、めちゃくちゃ楽しかったんだ。


 それでね、小六の夏休みも従兄弟の家に泊まりに行ったんだけど、いつもなら七月の終わりくらいに泊まりに行ってたのに、その年だけは親父の仕事の都合でちょうどお盆の時期にぶつかっちゃったんだ。


 まぁ、僕としては遊びにさえ行けるなら日にちなんてずれても全然気にはしなかったんだけどさ。


 従兄弟の家に着いていつも通り挨拶して、僕たち子供はすぐ遊びに夢中になって、騒ぎながら過ごしてたんだけど、確か三日目の夜だったかな。

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