07: fuzzzzzzz
「みんな話聞きたがってたぜ。あれっておまえのダチだろ? 前ここにも来たよな? つーか怖いね、自分が会ったことある奴が死んでさ、新聞とか出てさ。あ、釣り銭チェックしといて」
「三百十五円になりまーす」
「店長がさ、おまえ一緒にいたとか言ってたけど、マジなの?」
「お待ちのお客様こちらにどうぞー」
「もしかして死体とか見ちゃったわけ?」
「あんた、もうええ加減にしとき」
暴走する城戸さんを止めたのは星野のおばちゃんだった。いつも通り、手だけは機械的におでんをかき混ぜてる。
「あんたも黙っとらんでやめさせたらええに」
「だっておばちゃん、マジで死んだんだぜ? おばちゃんだって見たことあるだろ、ひょろひょろして髪赤い奴。名前なんだっけ」
「死んだ人間に向こうてそないなこと言うとるとじきにバチあたるで」
今日は五千円札が少ない。
「せやけどまあ、不憫な話やなあ。なんであんな若い盛りに自殺なんてせなあかんかな」
その瞬間、俺はなんか、ドキっとして、数えてた千円札の枚数を忘れた。
「おばちゃん、あれって自殺なの?」
城戸さんとおばちゃんは目を丸くした。
「なに言うとんの、あんた一緒におったんやろ?」
客がいなくて良かった。俺はしばらくぼーっとしてたらしい。
「なああんた、まだ仕事休んどってええて。友達があないなことなって、普通にしとる方がおかしいんや。今日はもう時間やし、はよ帰り」
「おばちゃん、俺おかしい?」
城戸さんは罪悪感を感じたのか、気まずそうに別のレジに逃げていった。
「人間誰でもいつかは死ぬる。深く思い詰めんと、でもその子のことは忘れんでやり。自殺せなあかんような事情抱えとった子や」
そういやあいつなんで死んだんだ?
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