成長。

窓から差し込む温かい光が小さな部屋を照らし出す中

役目を果たしたかのように床に落ちているわたしの掛け布団


なんでここにあるのだろう?

と不思議に思いながら小さな手で拾いあげ、小さな体で抱え込む

「えい!」

力いっぱい横のベットに投げ込んだが掛け布団は大きく、一度ではベットに乗ってくれず

3回目でやっとわたしと掛け布団の決着がついた

次は歯磨きだ!

わたしは覚えたての歯磨きをやりに小さな歩幅で洗面所までいき、鏡をみた。



慣れた手つきで右手に歯ブラシ、左手でチューブを握り

見慣れた自分の顔を見ながら歯を磨きはじめる

目が徐々に視界を捉え始め、はっきりと顔を認識した


「も〜また〜!」

ニキビを確認し、朝から気分が下がる

周りの友達にもその悪魔は住み着いているがやはり落ち込む

できて当たり前、今はホルモンがナントカカントカと言っているが、嫌のものは嫌なのだ

そんな事を思いながら歯磨きを終わらせ

リビングにぶら下がる時計をみた

いつもの習慣だ

ただこの日はいつもと少し違っていた

いつもは針が6という数字の所で重なっているこの日は短い針が7を長い針が12を示していた

「もう出る時間じゃん!!!」

そうこれは家を出る合図だった。



私は嵐のように家の中を駆け走り

起きた時より汚くなってしまった部屋を横目にスーツという鎧を身に纏う

玄関の鏡でサラッと確認を終え、扉の取手に大きな手をかけた。



家を飛び出していく彼女はちゃんと背負っているものがあった

そうそこにはこれまでの歴史が、全て、詰まっている

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