ボクの疑問。

当たり前ってなんだ。

お金でモノが買えること?

家に屋根がついている事?

服を着る事?

外に出て買い物に行く事?

スマートホンで動画が見れる事?


それとも…


「宿題をやるのは当たり前です!」


担任の森先生は放課後にボク呼び出し、愛のある(おそらく)説教をはじめた。


「いつから当たり前になったんですか」


ボクは決して反抗しているわけではない。

そんな幼稚なプライドは持っていない。

ただ、何が当たり前なのかを知りたいだけなのだ。


「また、そんな質問して。宿題は嫌いなの?」

森先生は優しくて、挨拶をすると毎日笑顔で返してくれる。

一人一人のことも、よく見ている。

そんな大好きな先生を困らせたいわけではない。でもボクが質問するといつも森先生は眉間にシワ寄せて困った顔をする。


「ボクの質問は先生のシワを増やすだけですね」


「幸せの証が増えて嬉しいわ。そのお礼に、君が宿題をやり終えるまで見てるわね」


そう言われ、視線を感じる中、黙々と宿題をやることになった。


宿題はあまり難しくなかったからすぐに提出することができた。


「早いわね!」


「カンタンだったので」


「わたしも君からの宿題、解けたわ」


意外な一言にボクは驚いた。


「教えてくださーい!」


「当たり前の事は何一つ無い!これが答えです」


「…」


「当たり前は言葉の綾で使ってしまうけど、この世界に当たり前な事は無い。今あるものは、今できてる事は、誰かが積み重ねたもので成り立っている。一夜にしてこの環境ができたわけではないからね。今こうして居れるのは有難い事だよ。有ることが難しいと書いて、有難いだよ」


「先生、、、最適解です!」


「生意気です」

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