イダー〜覆面ザコの異世界無双〜

豪将せの一

第1話 なんであいつなの⁉︎

「なんでだよ•••。」


森の中の泉に映った自分の姿を見て

膝を落とし、落ち込んでいた。


「異世界に来てまでなんでこの姿に•••。」


異世界に召喚された後、

女神にもらった、腕輪で変身してみたのだが•••。


「あのクソ女神があぁぁ!!!!」


俺はヒーローになれると思って引き受けたのだが

水に映った姿はまさかの「あいつ」だった。


ことの顛末を話すと時はさかのぼる。


〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰


「俺は何も悪いことはしていない。」


つい公園のベンチでひとり言がでてしまった。


さっきまで少し先にある、会社で

スタントマンをしていたがクビなった。


後悔はしていないつもりだったが•••。


愚痴が溢れてしまう。


ただ周りのスタッフに罵詈雑言を浴びせ、

嫌がる女性に手をだす、調子に乗った若手俳優に鉄槌バックドロップを下したまでだ。


あまり記憶がないが。


なぜあんな奴らがヒーロー役をしているのだろうか。


才能もやる気もプロとしての自覚もない。


ただただ顔が良く、芸能事務所の社長と

監督から気に入られていただけだ。


俺が働いていた会社も芸能事務所ともめる

のは嫌らしく、向こうが悪いとわかっていながらも

何も出来なかった。


慕っていた会社の上司も家庭があるのかだろうか

「すまない」と一言だけで何もしてくれず。


少しは弁解でもしてくれてもよかったじゃないか。


だが•••。


「人に手を出すような俺もダメだろうけどな

これじゃヒーローなんかなれないなハハハ•••。」


ひとり言をまた出しながらベンチに大きくより

かかった。


これからどうしようか。


芸能事務所からも大事な役者に手を出したという

ことで訴えを起こすとまで言われている。


「とにかく仕事を探すしかないか。」


「だけどもう一度ヒーローになりたかったな。」


昔も今もヒーローに憧れていた、色々あって

二度はなれた。


だが二回ともすぐにやめさせられた。


もう前の仕事には戻れないと思う。


後悔しても仕方ない、もう進むしか道はない。

だけど••。だけど•••。


色々考えながらも、ともかく家に帰ろうと

ベンチから立ち上がる。


ふと周りを見渡すと公園には学校が

終わったのか子供達で溢れ帰っていた。


「へ〜ん〜しん」と戦隊ごっこをしている。


無邪気で可愛らしい。


「俺もよくしていたな、いい思い出はなかったけどな。」


楽しそうな子供達の姿をみて微笑んでしまった。


すると、向こうからこっちを見ながら子連れママ達がヒソヒソと話している。


不味い不審者と思われたか。


だが少し元気が出てきた。


「ヒーローショーのバイトでも探してみるか」

とふと思う。


いづらくもなったので脚早く公園を出ようとした。


その時!


俺の横をボールが通り過ぎ道路に出る。


それに続き、幼い子供が飛びだす。


「なんだこのお約束は⁉︎」


とっさに身体が動く。


案の定、向こうからは車がスピードを出して

近づいてくる。


「間に合えっっ⁉︎」


スタントマンの仕事で鍛えた強靭な脚のバネで

飛び込み、子供の背中を押せっ⁉︎


ズドン!!!!!


ものすごい衝撃と痛みが全身を駆け巡る。


さらに地面に叩きつけられ同じような痛みが走る。


叩きつけられた瞬間、とっさに受け身を取って

しまい、不幸か意識だけはある。


全身に力が入らない。


一ミリも動かせない。


周りがざわつき始めてるのだけはわかる。


携帯で話す人、俺にかけよる人

すこしだが近くで子供の泣き声が聞こえた


無事だったのかよかった。


それだけが救いだ。


だけど俺は死ぬのか。


今までの出来事が走馬灯のように頭の中に

浮かんでくる。


いい人生とはいかなかったが

「最後ぐらいは本物のヒーローに

なれたかな•••。」


ああ•••。


だんだん眠くなってき•••。


〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰

「目が覚めましたか。」


美しい女性の声が聞こえてきた。


気がつくと星の様なものが煌めく、宇宙の様な

空間にいて、何故かそこにおかれた

椅子にスポットライトを浴びながら座っていた。


井田勝利いだかつとし様ですね。」


そう俺の名前は井田勝利だが

俺はさっき死んだはずだ。


「誰だ⁉︎ここはどこなんだ⁉︎何故俺の名前を知っている⁉︎」


「私はあなたのことをみていました。」


見ていた?どうゆうことなんだ?

少しパニックになりそうだがここは落ち着いて。


「わからない。説明してくれ!

後、姿も現さないやつと話しなんて出来ない。」


「わかりました•••。」


目を背けないといけないほど眩しい光の後に

白いドレスをきた、青色のロングヘアー、金色の瞳に凛とした顔だちの美女が現れた。


「始めまして、私の名前はベルエト。

いわゆる、女神と呼ぶ存在です。」


「井田勝利様、あなたにこの世界を救って頂きたいのです。」


足元に大きな地球によく似たような星が近づいてきた。


「この世界の名はヘロ。今この世界は魔族の侵略に

より滅ぼさそうになっています。」


話が唐突すぎる。


「ちょっと待ってくれ!世界を救う?

魔族の侵略?その前に何故俺なんだ?」


人は沢山いるんだ。

しかも自称女神と言うぐらいだ様々な星を見てきているだろう。


その中で何故•••?


「正義の鉄槌バックドロップかっこよかったですよ。」


そんな所まで見ていたのか。


「あなたのような、正義の心を持った人を

探していたのです。確かに候補は何人かいましたが

あなた程、適任な方はいなかったので。

命を顧みず子供を助けるようなね。」


そんなに評価してもらえるのはありがたいが。


「他にも、理由を挙げるとしたら純粋な力の差です。あなたの鍛えたあげられた肉体なら、この世界に召喚した時にさらに強くなると思いました。」


「強くもなれるのか?」


「はい。この世界に召喚した後、あなたに

私の力を与えます。力の使い方はあなた次第ですが。」


神の力かそれは強そうだな。


「さらに私があなたに合わせて作った特別な

スーツを作りました。このスーツがあれば

さらに力がますでしょう。手首につけて下さい。」


女神が腕輪を差し出した。


変身ベルトみたいなものか。


本当にヒーローになれそうな力や道具が

揃っている。


だがひとつ疑問が残る。


「そこまで出来るなら、あんたが救えば

いいんじゃないか?」


これだけの力があるんだ、

俺がしなくてもよさそうなもの


「それが出来るなら苦労はありません。神々の

誓約で、自分達が作った世界に干渉し過ぎないと

いうものがありまして、誓約を破ると私も危ないのです。」



結局は保身の為か


「保身と疑われても仕方ありませんが、

私が死んでしまうと、私が作った世界も

なくなる可能性がありますので。」


そうゆうことか•••。


「お願い致します!私の美しい世界と、

人々を救って下さい!」


女神は涙ながらに訴えてきた。


「わかった•••。」


ここまで頼まれると仕方がない。


それに•••。


「本物のヒーローになれるかもしれない。」


小さな声で呟き、拳を握る。


死ぬ前にはなれなかったヒーローになる。


「ですが、魔族の力は強大です。あなた1人では

太刀打ち出来ないでしょう。なのであなたと

同じスーツを渡した人物が5人います。彼•彼女らと協力して、どうかこの星をお願い致します」


足下に魔法陣のような物が浮かび上がり

身体と共に、光輝き始めた。


「ちょっとまて⁉︎、そいつらはどこにいるんだ⁉︎」


身体が段々と消え始める。


「旅をしていると、会えると思います!」


身体の半分まで消えてしまった。


「腕輪の使い方すらわからないぞ⁉︎」


もう顔しか残っていない。


「どうか彼らを見つけだし、この世界を救って下さい!」


「ちょっとまて話しをきけぇぇ〜〜〜!!⁉︎」


完全に消えてしまった。


「気が変わる前に送り出せてよかった。」


「ふぅ〜召喚は疲れますね、彼で本当に

大丈夫でしょうか•••。」


女神は何かぶつぶつ、呟きながら

その場を後にした。


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「聞こえているか•••?」


頭の中に男の声が聞こえてくる。


「時間がない!」


「どうゆうことだ⁉︎」


「真実は自分の目で見極めろ!!」


「待て⁉︎誰なんだ⁉︎」


身体の中に何かが入ってくるのを感じ

そのまま気を失った。

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「うぅ〜ん•••ここは?」


木の隙間からさす、光で目が覚めた。


どうやら森の中のようだ。


「ここが本当に異世界なのか?」


「せめて町の近くに転生してくれれば

いいものの。」


今はまだ森の中にいる為わからない。


身体でも動かしてみるか。


とりあえずジャンプしてみる。


ダンッ!


軽くいつもの倍は跳べている。


「こいつはすごい!たしかに力が増している。」


女神の力とはすごいものだな。


あとは•••。


「とりあえず、腕輪の使い方でも試しておくか。」


金の腕輪の真ん中に綺麗な青色の宝石が

ついている。


どうやって変身するのだろうか?


「とりあえずかっこだけでも。」


腕を直角に上げ、顔の横に手首につけた腕輪を

持ってくる。


中指と人差し指の二本の指で青色の宝石を触る。


「変身!なんちゃって!あはは!」


と、ふざけてしてみた。


すると宝石が光りだす。


しまぁぁぁす!」


腕輪が急に喋りだす。


ついにその時がと思ったが。


「へ、って•••⁉︎」


光りが身体を包み込む。


全身に服が纏わりついていく。


何か嫌なフィット感があるが•••。


そして光りが収まり。


ここで決めポーズだ!!


「イ〜〜ダ〜〜〜、とりあえず頑張ろ!」


「•••••」



「••••」



「•••」



「••」



「•」


「なんじゃこりゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜‼︎⁉︎」


この変な鳴き方にこの嫌な黒タイツは

まさかあのザコキャラじゃないか!!!!?


そして最初の場面に遡るのであった。

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