16

 数千、数億もの生命を喰らってきたミミックだったが


 その内にたくわえていた宝物も限りがあって


 要するにプレゼントの品が、いよいよ無くなってきた


 少女の笑顔が見られなくなるので、それは困る


 ミミックは少女が眠っている頃合いを見計らって、洞くつを徘徊するようになった


 しかし洞くつ中にむ生命は、ことごとくミミックに喰らい尽くされた後だったので


 めぼしいものは、なにも見つからないまま


 彼は、とぼとぼ少女のもとに戻った


 すると、いつもなら眠っている時間なのに、なぜか彼女は起きていて


 ちょっと不満そうに彼を見つめていた


 ミミックが不思議そうに少女を見守っていると


 彼女は、そっと彼の口になにかを押し込んだ


「まぁ、もらってばっかりじゃ悪いからね」と少女はいった


 それは、彼女の血が詰め込まれた小瓶だった


 もちろん、ミミックはその貴重性なんて知る由も無かったが


 プレゼントをもらう、という行為自体、彼にとっては初めてのことだったので


 嬉しくて、嬉しくて、それはもう洞くつが壊れるんじゃないかってくらい、跳びはねた


 少女はそんなミミックをみて、少しだけ笑った

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