探偵、桜井明日香9

わたなべ

プロローグ

 9月――


 憎い……。

 あの女が、憎い――

 自分を裏切ったあの女が、とても憎い!

 自分が、どれだけあの女を好きだったのか……。

 あの女も、きっと分かっていてくれていると思っていたのに――

 自分と同じだと、信じていたのに!

「絶対に、絶対に許さない……。殺す……、殺す……、殺すんだ……。殺してしまえば、あの女は永遠に自分だけの――そして、アイツに罪を擦り付けるんだ」

 もう自分は、四六時中そのことしか考えられなくなっていた――


 10月――


「はぁ……、はぁ……、はぁ……。ついに……、ついに殺った……。これで彼女は、自分だけの――」


「こ、これは! 死、死んでいるのか? な、何てことを……、何てことをしたんだ――」

 い、いや、これは――

「そうだ……、これは天罰だ……。天罰なんだ……、死ね!!」

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