carnival~怪異都市~

木枯月扇

1話 日常

 後悔、それは過ぎてしまった事を悔いること。その擬人化が、今の僕。


 今更どうすればよかったのかなんて、考えるだけ無駄。


3回目、本当に僕は馬鹿だ。

一時の感情で、一瞬にして皆を


しまった。


また犠牲が増えた。数にして、4。


戻って来てくれみんな!!

それだけが望みだ。慰めの言葉?もういらないよ。

そんなのはやめてくれ、聞き飽きたんだ。


ああ、神よ


「お前はほんとに存在するのか?」


天をにらみ、皮肉を吐き捨てた僕の頭部に怒号と衝撃が走る


「さっきからうるせえよっ!!」


一部始終を見ていた友人に頭をはたかれた。

ジンジンと残る痛みを両手で覆うようにし、涙目になりながらも反論する


「うるさいだなんて言うなっ。こっちは人殺しなんだぞ!?」


彼の空気が変わる。表情は神妙な感じだ。


「またかよ・・・今回は何人だ?」


痛みを抑えていた片手をはずし、指で数を伝える。


「4人だとっ!まさか全員じゃ・・・」

「その、まさかだよ」


目は口程に物を言う。

彼は信じられないとでも言いたげな表情をして見せ、深くため息をついた後、目の前の暗く丸まった背中ぼくにクドクドと説教を垂れ始めた。


「前回の2人、女性と男性をって時はまだ見過ごしてやってたけどよ、今回56歳を4人だろ?流石にほっとけねぇ。これはお前のためを思った発言だ。足を洗え」


黙って頷く他無い。


「そうか、よかった」


だってほら、目が笑ってない。怖い。

しかし、これだけは言っておきたい。お前は俺の何なの?

説教までされる筋合いないんだけど?


「でも、でもさ」


もう説教は聞き飽きたので最終手段を使うことにしよう。


「なんだよ」

「・・くねぇ」

「んぁ?」


そうだ僕は、


「僕は悪くねぇええええええええ」

「急に叫ぶな!!ってどこ行くんだよ」


それでも僕は悪くない。

これだけは使いたく無かったが仕方ない


奥義 「瞬間加速フラッシュ・ラン!!!」

 

説明しよう!「瞬間加速フラッシュ・ラン」とは構えることのないごく自然な体制から、一気にダッシュし駆け抜ける。言うなれば初見殺し技だ。


あいつが驚いている間にただ逃げる為だけに意識を向け、脚を回した。

それに比例し、自分を呼ぶ彼の声がだんだん遠のく・・・ことはなく寧ろむしろ近づいてきていた。


 結果としては10秒経つことも無く首根っこつかまれたのだが、それはしょうがないというものだ


「お前、元運動部なめすぎ」

「・・・ウィッス」


また頭を叩かれた、これ以上はバカになってしまうかもしれない。

彼は元陸上部エース。僕は美術部の、「幽霊ファントム」だったから。


捕まったあと、勝手に逃げたことに対する説教がプラスされ、帰路につくのがいつもよりだいぶ遅くなってしまった。


「説教はもう嫌だなー、長いし」


これ以上怒らせると不味い。他人事なのによくそんなに怒れるとは思うが、

何よりあいつの「もう二度とするな」と言われたときの顔を思い出した。


「・・・課金するのやめよ。当分の間は」


心に誓った僕はそんなに時間が経たない間に、また説教される羽目になるのだが、それはまたべつの話。


 高校一年生の僕、榊原さかきばら 終夜しゅうやの日常は大体こんな感じだ。因みに口うるさいが、なんだかんだ言って良いやつな友人の名前は加藤かとう 幸多こうた。中学の頃は陸上部のエースだったらしいが、本人曰くらしい。その元エース様がなぜ僕なんかとつるんでいるのかは全く理解できない。いや、理由ならあるかもしれない。


これは予想でしかないけど、僕のとかかな?




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