第4話:蘇る悪夢

――01――


高級料亭・五十部荘。屋根から突き出た長い庇が頭上を覆う、半屋外空間に板張りの廊下。人が一人すれ違える程の幅の板間は、ハニカム状に並び立ち障子戸で仕切られた個室の縁を縫って、回廊のようにどこまでも続く。

突き当りの個室。開け放たれた障子戸の向こうは枯山水の日本庭園。丁寧に剪定された梅の老木に、若いウグイスが停まっては覚束ない声で鳴いた。

花の盛りは過ぎて久しい。調子外れに歌う若い雄鳥に伴侶の姿は無い。




黒いお仕着せに身を包んだ百目鬼聖羅ドウメキ・セイラは、着慣れぬ和服にむず痒さを感じながら畳に正座して両手を突き、些か白粉をつけ過ぎた顔で慇懃に一礼した。彼女の背後では、正装した母親・幸恵サチエと、父親・光義ミツヨシが無言の微笑みで圧力を放っていた。

「初めまして。本日はお忙しい所、足をお運びいただいて恐縮です。申し遅れまして私、百目鬼聖羅と申します。不束者ですが、どうぞ宜しくお願いします」

(チッ、何でこんなヤツに平身低頭へりくだらなきゃならんのだ、私は!)

聖羅の険の強い顔に、精一杯の愛想笑い。同時に心の中では呪詛が渦巻いていたが。

「そんな! あんまり畏まられると僕も緊張しちゃうなあ、ハハハ!」

純白のスーツに身を包んだ青年・安中惣一郎ヤスナカ・ソウイチロウは、傲慢で偏屈で堅物で融通の利かぬ雰囲気を滲ませた、眉目秀麗な容貌を綻ばせ、砕けた調子でおどけて見せた。しかしチタン製フレームの銀縁眼鏡の内側では、蛇のような瞳を欲望にギラつかせていた。

「しかし、お美しい方ですな。凛とした御姿に黒のお着物が良く似合う!」

聖羅の着物の上からでも分かる豊満な体を、聡一郎はカールツァイスのレンズ越しに上から下へ、下から上へ何度もねっとりと視線を走らせて、聖羅の容貌に頷いた上で密かに勃起した。


――02――


「安中さんはアメリカでMBAを取得なされて、帰国すると国内の製薬会社に就職、輝かしい経歴を積んでヘッドハンティング、会社を幾つも渡り歩いてアテナ薬品さんに転職すると、第一開発部長に若くして就任なされたのよ」

完全に見合い相手の宣伝スピーカーと化した幸恵の長回しを聞き流しつつも、対面で時折光る聡一郎の眼鏡に、聖羅はこみ上げる吐き気を堪えられなかった。

(さっきからいやらしい目つき。バレてないとでも思ってんの? キモッ! こいつ絶対手ェ早いタイプ。まあよく見ればイケメンはイケメンだけど……いーや無理! 絶対浮気すんだろ。いくら金持ってても、こういうタイプは生理的に無理ッ!)




「どうしました、聖羅さん。顔色が悪いようですが緊張しているのかな? ハハハ、無理も無い! 僕ほどの頭脳明晰で心身優良な、見合い相手にはこれ以上ない色男も居ないからね! 君には少し毒が強すぎたかな? なーんてね、ハハハハハ!」

聡一郎の背後の、厳格そうな壮年女性と壮年男性はニコリともしなかった。二人は、と称する割に聡一郎に似た顔をしておらず……類似点と呼べるものはせいぜい、眼鏡をかけていることくらいであった。

「オッホホホホホオホホ! まぁ、安中さんたらお上手なんだから!」

「アッハハハハハハハハ! 無理も無い! 聖羅も女の子だからな!」

愛想笑いを浮かべつつ、心中穏やかでない聖羅には幸か不幸か見えなかった。彼女の背後で聡一郎をおだて倒す両親の目に、¥の字がありありと浮かんでいた様を。

(こんなクソ野郎に抱かれるなんて絶対無理。どうにかして断ってやる)

聖羅は溜め息をついて、気を紛らわせようと脳裏で記憶を掘り起こした。




瞳を閉じれば、いつだって昨日のことのように鮮明に思い出される景色。

誘拐、殺戮、逃避行。黒スーツ、ボサボサ頭、邪悪に笑う髭面。夢のような世界で、私に生きることを許してくれた人。希望を与えてくれた人。

(待て待て、記憶が美化され過ぎだ! 絶対あんな格好良くなかったろ!)

記憶の中で光り輝いていた男の顔が、聖羅の心の声と共にクチャッと潰れ、服を着た原始人、或いはオランウータンじみた、冴えないオッサンの姿へと変わった。

男が握っていた馬鹿でかい銃は木の槍へと変わり、聖羅と男を追い回す敵も猿めいた原始人に姿を変える。男は形容不能な叫びと共に巨大なマンモスを打ち倒し……。

(違う違う、そうじゃない! あーもうッ、私は何を考えてるんだ!?)

聖羅の脳裏で感情が煮詰まり、無言の内に眉間へ皺が寄り、対面する安中が訝る。

「どうしました、聖羅さん。具合でも悪いんですか?」




キュロキュロキュロキュロ……ジャ―――――ンッ! 唐突に管弦楽の電子音!

モーツァルトの『魔笛』第二幕「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」だ!

ドイツ語で取り憑かれたように歌うソプラノが、見合いの雰囲気をぶち壊す。

「あ、あれッ!? わわわわ大変、スマホ、電源切ってたはずなのに!」

聖羅は真顔で慌てふためき、着物の懐から大音量で喚くスマホを取り出した。

『ハァアアアッハハハハハハハハーッ! ハァアアアッハハハハハハハハーッ! ハァアアアッハハハッハハハハッハハハハハハハハッハハハハハハハハハーッ!』

狂い笑いのようなソプラノ歌手のコロラトゥーラが、スピーカーを震わせる。

聖羅としては、お見合いの雰囲気をぶっ壊せるなら何でも良かったが、この着信音が鳴ることは完全に想定外! 何に対して設定したかも思いせず、狼狽える!




画面表示は――『番号 非通知』。その不吉ですらある文字を目にした瞬間、聖羅の脳裏には言い知れぬ『予感』が電撃めいて走った。

「申し訳ありません。ちょっと、急用の電話が」

「何言ってるの、聖羅!?」

「止めなさい、安中さんに失礼じゃないか!」

「いえいえ構いませんよ、僕は平気です! お友達とかお仕事とか……聖羅さんにも色々あるでしょう! どうぞ、切れない内に早くお出になられて下さい」

聡一郎はここぞとばかりに鷹揚な態度を示し、抜け目なく聖羅の肢体を視姦した。

「ありがとうございます。失礼します」

「オッホホホホホ! さすが安中さん、お優しさは育ちの良さの証明ね!」

「アッハハハハハ! 度量の広さ、女心を察する心、これぞ男の中の男!」

(確信した。あの女は……俺に惚れている。何としても物にして見せる)

聡一郎は足早に縁側へ向かう聖羅の尻を視姦しつつ、心中舌なめずりした。


――03――


聖羅は震える足で板間に立ち、殆ど息が上がり、霞んで焦点の合わない目でスマホの画面を睨んだ。電話は鳴り続けていた。夜の女王のアリアは未だ響き続けていた。

ソプラノの超高音が、復讐心を刺すような旋律に乗せて、高らかと歌い続けていた。

一つ、二つ、三つ。深呼吸して意を決して、生唾を呑んで通話をフリック。

アリアはぴたりと止み、周囲には再び静寂が訪れた。

「……もしもし。誰なの」

返答は無い。電話の向こうで、沈黙が長く続いた。

「何とか言ったらどうなの? もしもし? 聞こえてる? もしもし?」

(まさかただの無言電話? 期待して損した)

そこまで考え、聖羅は自分が何を『期待』していたのか、ふと我に返った。

「ハァ……用が無いなら、もう切るわね」

「――切るな。久しぶりだな、百目鬼聖羅。話すこたぁ二度とねえと思ってたが」

鼓膜に焼け付いた、澱んで掠れた声が不意に聞こえ、聖羅の心臓が高鳴った。




「……あんた誰なの? どうして私の番号知ってたの?」

「――名乗るほどのモンじゃねえ。お前の番号を知ってたのは、だけだから気にするな。いいか、それより時間がねえ。この電話はだ」

「警告? どういう意味?」

「――いいから聞け。落ち着いて聞け。お前の身の安全に関する重大事だ。いいか、少し前に例の殺人ウィルス、お前の身体の中にも潜んでいたヤツ……そのウィルスを含んだ血液サンプルが、何者かに強奪されたらしい」

「その情報が本当だったとして、私に何か関係あるとでも?」

「――関係があるかだって? 大有りだッ! 悪ぃ、つい大声が出た。お前の身体は殺人ウィルスの抗体を持ってる。お前自身の望む望まざるに関わらず、お前の身体は実験に最適なんだ。狙われてもおかしくない」

「狙われるって、誰に?」

「――カレイドケミカルの残党だ。分裂、買収後の後継企業。そう例えば美麗化学、明日香エンジニアリング、或いは……アテナ薬品とかだ!」




聖羅はアテナ薬品の単語を聞いた瞬間、ハッと息を呑んだ。

「――心当たりがあるって反応だな?」

「仮にその情報が真実だったとして、あんたは私にどうしろって言うの? 私は私の人生を生きるのに必死で忙しいの。あんたには関係ないでしょ」

「――気を付けろ。白馬の王子様が二度現れるとは限らねえからな」

「何が白馬の王子様よ、ブサイクなオッサンの癖して……他人の心にずかずか土足で上がり込んで、偉そうに指図して! これだから男ってヤツは!」

「――男にゃ時として、言った相手に恨まれてでも言わなきゃならん事があるのさ。二度と会わないことを願うぜ。幸せに暮らせよ、じゃあな」

『名も知らぬ男』はかけてきた時と同様の唐突さで、一方的に電話を切った。聖羅は力強くスマホを握りしめ、梅の老木とウグイスを睨んだ。

若い雄鳥は今度こそ麗しい鳴き声を放ち、梅の木の枝を飛び立った。


――04――


聖羅はスマホを懐に仕舞って溜め息をついた。不意に何もかもが馬鹿馬鹿しく思えて苦笑した。踵を返すと、愛想笑いを止めて大股で個室に戻る。

余裕の態度を崩さず、幸恵や光義と懇談する聡一郎の背後で、聡一郎の両親が互いに顔を見合わせる。戻った聖羅のが変わったことを、敏感に察したのだ。

電話を境に聖羅の中で気持ちが切り替わった。緊張が解けて、周りの事を見る余裕が出て来た。着物に踊る鯉の滝登りの絵柄も、今では好ましく思える。




「お芝居は止めにしましょう、安中さん。安中惣一郎さん」

「これは嬉しいな聖羅さん。とうとう僕のことを名前で呼んでくれた!」

聖羅はおもむろに頭へ手を伸ばすと、後頭部で結った髪を解かんと簪を引き抜くが、髪型が少し崩れただけで結髪が解ける気配は無かった。

「ちょっと聖羅、何してるの!?」

「止めなさい聖羅、安中さんに失礼だろう!」

「アッアッアッ聖羅さん、そんな過激過ぎますよ! そんな焦らなくても、まだ日は高いではありませんか! 僕にも心の準備というものが!」

「安中惣一郎さんがお勤めでいらっしゃる『アテナ薬品』ですけれど」

「そういうことは順序を踏んで――は、ハイッ!?」

聖羅は簪をぞんざいに畳へ投げ捨て、腕組みし仁王立ちして聡一郎を見下ろした。

「あの『カレイドケミカル』の製薬部門を吸収合併した会社だそうね」

ざわ……。聖羅の両親が慌てて腰を浮かせかけ、聡一郎の両親がしんねり押し黙ったままアインコンタクトし、聡一郎が口を半開きで眉尻を上げた。

「私は遠くない昔に、カレイドケミカルの連中に攫われたわ。ウィルスだか何だかの実験体にされるためね。貴方だってご存知でしょう? そんな私にアテナ薬品の人が縁談なんて過去の悪事の贖罪の積もり? もしくは……腹に一物あるのかしら?」




「聖羅ッ!? あなた、何言ってるのッ!?」

「そうだぞ聖羅ッ! 言っていいことと悪いことがあるだろうッ!」

「お父さんとお母さんは黙ってて! これは私の人生に関わることよ!」

聖羅がピシャリと断言すると、聡一郎は意外そうに表情を緩ませた。

「ハハッ……フハハハッ……フッハハハハハハハハハ!」

そして、彼は笑った。眼鏡を右手で押さえ、大きく体を逸らして哄笑した。

次に彼が向き直った時、カールツァイスのレンズの下の双眸は酷薄な眼光を宿して、善良な一般市民の風貌を取り繕うことを最早しなかった。

「考え過ぎではありませんか、聖羅さん……どうか、そんな悲しいことを言わないで下さいよぉ。僕なら貴方を幸せにできます。貴方の未来を!」

彼女はその目に見覚えがあった。しかし網膜に焼き付いた不屈の眼差しと、目の前の男の下種な眼光とでは、魂に訴える崇高さの点で甚だ格差があった。

「私の未来、じゃなくて安中惣一郎さん、貴方の未来じゃなくて?」

「まぁそうとも言いますね。僕と貴方、二人三脚で歩むこれからの世界!」

聡一郎は口角を上げて邪悪に笑った。これがこの男の本性だ。聖羅は確信した。

「お断りよ! !」

「聖羅ッ、いきなり何をッ!?」

「聖羅、もういい加減にしろッ!」

俄かにいきりたつ幸恵と光義を、聡一郎が片手を上げて制した。


――05――


聡一郎は不意に全身を脱力させると、双眸を細めて背後の両親を振り返った。両親は人形のような無表情で聡一郎と顔を見合わせ、無言で頷いた。

「落ち着きましょう。聖羅さんは何か思い違いで、酷く混乱してらっしゃるようだ。急にどうしたんです? 何が仰りたいのか僕にはサッパリですね」

「今しがた、友人から『警告』があったわ。殺人ウィルスの血液サンプルが何者かに奪われたってね。知っての通り、私の身体は殺人ウィルスの抗体を持っているから、接触してくる相手には気を付けろ……特にカレイドの関連企業には……とね」

幸恵が、光義が、聡一郎の両親が、そして聡一郎が、聖羅を見つめた。

静寂。誰も何も言わず、誰しも微動だにせず、緊張の息遣いが微かに響く。

「それは誤解ですよ聖羅さん。目を覚ましてください。一体、誰がそんな世迷い事を貴方に噴き込んだのですか? 先程の電話の相手ですか?」

「答えて頂戴! 安中惣一郎さん、貴方は一体誰の思惑で動いているの?」

聖羅が誤魔化しを許さぬ強い語気で詰問すると、聡一郎の眼鏡が光った。




「フッ……フックク……クハッハッハハハ! この安中惣一郎、己の思惑、己自身の欲望、ただそれのみによって動いている! 他の何者の指図も受けてなどいない! 百目鬼聖羅、お前も私の所有物となるのだ! 悪いようにはしないぞ!」

「待ちなさい、突然何を言うんだね君はッ!? 娘を所有物だなどと、そんな!」

「聖羅、あなたが変なことを言うからよ! 謝りなさい、安中さんに謝りなさい!」

本性を現した聡一郎の豹変ぶりに、幸恵と光義は激しく動揺する。

「だからお断りだって言ってるのよ! 悪いけど、今日のお見合いはご破算にさせてもらうわ! 余りしつこくするなら、警察を呼ぶわよ!」

聖羅が懐からスマホを取り出し、威嚇して掲げると、聡一郎がパチンと指を弾いた。彼の背後に座っていたが、懐に手を入れて素早く立ち上がった。




次の瞬間、二本の消音器サイレンサーの銃口が、聖羅と両親たち三人に向けられていた。聡一郎の背後に立つの手には、SIG SAUER P365小型拳銃が握られていた。

「クッハハハハ! そこまで言われてしまっては仕方がない! 少し荒っぽい手段を使わせてもらおう! 逃しはせんぞ百目鬼聖羅! 警察などの好きにさせん!」

聡一郎の背面の障子が開き、続き部屋から黒服の男たちが歩み出る! 彼らの手にはサイレンサー装着型のP365小型拳銃!

「チクショウ!」

聖羅が毒づいて身を翻し、廊下に飛び出そうとすれば、廊下の向こう側からも黒服が出現! 男たちは9mm口径の銃口を聖羅に向け、平手を聖羅に突き出して制した!

黒服たちの胸に光る徽章バッジ。描かれた『KSS』の頭文字イニシャル、荒波を越える灰色熊グリズリーの意匠。彼らは『コディアック警備保障セキュリティー・サービス』! 米国CIA関連企業の民間軍事会社P M S C sだ!

「……何なのよ、あんたたちッ……」

聖羅は歯噛みして、個室の中へと後退していく。聖羅と両親、父・光義と母・幸恵の三人は、サイレンサー拳銃で武装した黒服の傭兵たちに、瞬く間に包囲された!

「愚かな女め! 黙って従っていれば穏便に事が済んだものを! 万が一の保険まで使わせるとはな! 女! 感情的な生物! これだから女は嫌いなのだ!」

聡一郎は聖羅に歩み寄って、片手のスマホを力づくで毟り取った。

「さあ! 我々と共に来るか、親の顔が吹き飛ぶところを見るか! 選択肢は二つに一つだ百目鬼聖羅! 私はどちらでも構わないがね、クッハハハハ!」


――06――


埋立地の官庁街。中心部に聳え立つ南海ビル、13階の突き当りのオフィス。そこは人材派遣会社『椛谷カバヤソーシャル・コミュニケーションズ』。.30口径徹甲A P弾も防げる重厚な防弾扉を越えた先にあるのは、小ぢんまりとした事務所だ。

山田一人を初め、オフィスには非常招集に呼応した『派遣社員』たちが集っていた。

「公安警察エージェントからの、非公式の依頼だと?」

社長の杉元六合雄スギモト・クニオが、スーツに包んだプロレスラーめいた巨体で安楽椅子を鳴らし、ゴリラそっくりの野性的な顔をしかつめらしくして問うた。

杉元の隣に立つ、ロングヘアーの眼鏡秘書・雨宮純アマミヤ・ジュンが頷き、リモコンを操作する。天井から吊り下げられたスクリーンへと、画像がプロジェクタ投影された。

「山田が持ち帰った、公安を自称する男の情報によりますと、半官半民の細菌微生物研究施設に所属不明の武装集団が押し入り、警備員を殺害・研究員を拘束して制圧。厳重隔離された最重要区画より『サンプル』を強奪したとのことです」

「サンプル? 何のサンプルだ? 新薬の製造原料か何かか?」

杉元は生ライムの皮を剥きながら笑い、雨宮の説明を茶化して問うた。

「いえ。報告によれば、それは生物兵器の製造原料……具体的には、殺人ウィルスに感染した死者から摘出した血液、それを元に培養した、ウィルス活性体とのこと」

彫像めいた表情の雨宮、その淡々とした説明にどよめきが漏れる。




社員たち、ポニーテールの若い女性・野村弓弦ノムラ・ユヅルや、年季入りの壮年男性・長谷川兵造ハセガワ・ヒョウゾウなどは、露骨に顔を顰めた。オールバックの軽薄な男・高橋智樹タカハシ・トモキは薄ら笑いを湛え、雨宮を見つめてもっともらしく頷く。山田は無言・無表情。

帽子から白髪が覗くサングラスのアルビノ男・林光国ハヤシ・ミツクニは、壁にもたれて腕組みし、生白い顔の口を噤んで、話を聞いているのかいないのかも分からない。

「あ、あの~……僕、忘れ物を取りに来ただけなんで、もう帰っていいですか?」

肩までかかる長髪に眼鏡の軟派な青年・佐々木志文ササキ・シモンがおずおずと挙手して言うなり、短髪の長身女性・左近司サコンジつかさがCIWSめいて首を巡らし、佐々木を睨み据えた。

「ヌンッ!?」

「アッヒエッ!? ……な、何でもないです……」

左近司は一抜けを許さぬ眼光で佐々木に釘を刺すと、再びスクリーンに視線を戻す。顎に手を添えて指でトントンと叩き、暫く思案した末に口を開いた。

「で、強奪犯を強襲して、その危険物を奪い返せと言うのか? 我々が?」

「卜部は『調査』と言いました。調、とも言いましたがね」

プロジェクタ画像を無表情に見上げ、山田の放った言葉に視線が集まる。

「山田、ふざけてるのか! 元はと言えばお前が持ち帰った案件だろう!」

語気を荒げて山田に詰め寄る左近司を、杉元が大きな手を開いて制する。




杉元は皮を剥いたライムを暫し片手で弄び、一個丸ごと口に放って咀嚼した。

「襲撃犯の目星はついているのか。連中のバックについているのは何者だ?」

「断定はできないですが、一つ気になる情報が。アテナ薬品、元カレイドケミカルの製薬部門を吸収合併した製薬会社に、近頃グループ再編の動きが見られるとか」

雨宮がリモコンを操作すると、プロジェクタ画像上に相関図が現れた。

生物兵器製造疑惑が露見して壊滅した、総合化学企業・カレイドケミカル。

その中の一部門を買収した、国内シェア第三位の製薬企業・アテナ薬品。

アテナ薬品と業務提携が噂されている、米国製薬企業・サルート。

相関図はサルートを擁する巨大多国籍企業『ラブクラフト・ユニオン』へと繋がる。

「ハァーすっごい。入り乱れ過ぎて何が何だかわーけわからん」

野村が正直な感想を述べると、長谷川は溜め息交じりで肩を竦めた。

「端的に言えばだ。サルート、その親玉のラブクラフト・ユニオンは超国家的に活動する関係上、国連に……のみならず米軍やCIAとも関係が深いとされている」

杉元がもう一つのライムを手に取り、皮を剥きながら情報を補足する。

「カレイドの遺物を、企業合併で自国に吸い上げようとしている……?」

「バックに国がついているから、どの勢力も表立って動けない、と」

左近司の推測に山田が言葉を続けると、杉元は不愉快そうに鼻を鳴らした。

「となれば敵は米国だけではあるまい。情報を嗅ぎつけたも漁夫の利を狙い、遅かれ早かれを試みるだろう。嵐の前触れだ……これは荒れるぞ」

杉元が皮肉笑いでそう嘯くと、一同は何も言えずに沈黙した。




難しい顔でプロジェクタ画像を眺めていた野村が、吹っ切れたような顔で両手を頭の後ろに組み、気怠そうに大きな欠伸をこぼした。

「どーでもいいですけど、ともかく人手に渡る前にブツを奪い返しちゃえば、それでぜーんぶ丸く収まる、そういうことじゃないんですか?」

「野村ちゃんさぁ、言ってることは間違ってないよ。間違ってないんだけどねぇ」

薄ら笑いで口を挟んだオールバック男・高橋智樹タカハシ・トモキを、野村は不快そうに見返す。

「間違ってないなら何ですか」

「だから、だって言ってるんだろ!」

の間違いじゃないの? 一々難しい言葉使って偉ぶんな、ジジイ」

「年長者に対して何だその言葉遣いは、このガキ!」

睨み合う野村と長谷川、間に挟まれて狼狽する高橋、その様子を見つめてワケもなく慌てる佐々木、目頭を揉む山田、一切合切を遠巻きにする林は欠伸をこぼした。

「あーもう野村! 長谷川! お前たちも一々喧嘩するな!」

堪り兼ねた左近司が大手を振るって声を張り、強引に場を収拾する。

「マズいですよ、社長。明らかにリターンに対してリスクが見合ってない。私たちは代理戦争の駒ですか? 失敗したらどう責任を取るお積もりで?」

「リスクに対してリターンが見合っていないかどうかは、まだわからん」

杉元が左近司に意味深な言葉を返した時、山田の懐で着信音が鳴った。

「失礼します。……はい山田。……卜部か。ああ、社長に、ああ……ちょっと待て」

山田はブラックベリーで卜部と何度か話すと、電話を杉元に差し出した。


――07――


料亭・五十部荘の個室では、KSSの戦闘要員オペレーターたちが素早く動き、聖羅と幸恵と光義、三人を後ろ手にタイラップで緊縛して拘束、拳銃を向けて立つよう促した。

「では、一家ご案内ですな。我々と一緒に来てもらいましょうか、百目鬼さん」

邪悪な笑みで命ずる聡一郎に、幸恵と光義は激しく動揺して抵抗した。

「な、ななな何だお前たちッ!? 私たちが何をしたッ!? こんなことが許されると思っているのか! 娘を一体どうする積もりなんだッ!?」

「些か不本意ながら、貴方がたは人質として拘束させていただく。娘さんが我々への協力を拒んで逃走しないようにね。全く手間のかかることだ!」

特に激しく暴れていた幸恵が、火事場の馬鹿力で男たちを突き飛ばし、逃亡!

「誰かーッ! 誰か助けてェーッ! ……オゴッ!?」

しかたに思えた次の瞬間、一人の黒服が素早く幸恵に飛びかかる! 背後から片腕を幸恵の首に回し、裸締チョーク! 幸恵の頸動脈を絞り、恐るべき手際の良さで失神させる!

「さ、幸恵ーッ!?」

「お母さんッ!?」

光義が暴れようとすると、眼前に数本の銃口を突き出され、大人しくさせられた。

「フン、やはり女だ。諦めが悪い、往生際が悪い。早く連れて行け!」

白傭兵たちは聖羅たちと聡一郎を伴い、料亭の裏口へと向かった。裏口には恐ろしく巨大なフルサイズバン、白いシボレー・エクスプレスが停められていた。車体の右と後部のドアが開かれ、人々を積み込んでドアを閉じると、急アクセルで発進した。




座席背面の荷室へぞんざいに転がされた、聖羅の両親。光義は歯噛みして、悔し涙に啜り泣いた。彼の隣に転がる幸恵は、涎を垂らして昏倒したまま目を覚まさない。

「ウッウッ……こんな、こんなはずじゃなかった……許してくれ、聖羅!」

「ハーッハッハッハッハッハァ! 後悔先に立たずとはこのことだなァ!」

中央の座席、着物姿の聖羅を中央に挟んで、右側に座る聡一郎が哄笑した。左側には顔に斜めの刃物傷を持つ、屈強な黒服が座っている。他の席は全て、KSSの戦闘員で埋め尽くされていた。彼らは今や拳銃を仕舞い、消音機サイレンサーを装備した超小型ライフル・DDM4 PDWに持ち替えていた。本格的な戦闘も視野に入れた強力な武装だ。

「何だァ、思ったより抵抗しないじゃないか。自分の運命を悟ったか?」

「親を人質に取られたら、従うしかないでしょ! 汚いヤツ!」

スパンッ! 聡一郎の瞳が濁った輝きを放ち、平手が聖羅の頬を張った!

「ハッハハハ、口の利き方に気を付けるんだな。今日から俺が、お前の、お前たちの主人なのだからなァ! フゥーム、それにしても良い身体をしている」

聡一郎の左手がいやらしく蠢き、聖羅の着物の胸元へと滑り込んだ。

「フヌッ、ベロリ、フンヌフンヌ……いい加減に素直になれよォ、聖羅ァ!」

「クッ、クソッ……キモいのよッ……誰がお前なんか!」

聡一郎は聖羅の着物をはだけさせて、聖羅の素肌を弄ぶ。強引な愛撫に屈辱の表情を浮かべる聖羅に、自らの勃起をいや増させた。




プルルルルッ! 傷の男が着信音を聞いて、聡一郎と聖羅が押し合いへし合う車内で片隅に押し込められつつ、懐から防爆型スマホを取り出した。

「グッ! 何でもない、もしもし。どうした敵襲か? 相手は不明? 何だと?」

「ヘヘヘ……そうは言っても、身体は正直だぜぇ……何の騒ぎだ」

顔を背ける聖羅のうなじを舐めあげ、聡一郎が鋭い表情になって問うた。

「はッ。本社が何者かの襲撃を受け、ホールが制圧されつつあるとのことです!

「そんな馬鹿な!? こちらの兵力がどれだけあると思っているんだ!?」

傷の男は電話口の相手と連携を取りつつも、聡一郎を見て頷いた。

「人海戦術です! 相手は数十人の兵を送り込み、数の力で押しているとのこと!」

「……痛ッ!?」

聖羅の胸に爪を立てて握りしめ、聡一郎が悪鬼羅刹の表情で唸る。

「グヌヌウッ……使つもりかッ……絶対に食い止めフゴッ!?」

聖羅が後ろ手に縛られたまま、聡一郎の顔面に頭突き! 眼鏡が弾け飛び、聡一郎が鼻血を垂らし、背中から側面ドアに激突して崩れ落ちる!

「いったいわね! 放しなさいよこのバカ!」

すかさず、屈強な白傭兵が腕を伸ばし、聖羅の結髪を掴んで動きを止めた!

「フッ……クックク……フッハハハハハァ! 全く、活きの良い女だ!」

聡一郎が身を起こし、鼻血の滲む顔に眼鏡をかけ直して聖羅を見下ろした。

「クッヒヒヒ……後でたっぷりお仕置きしてやるからな、覚悟しておけよ」

聖羅は強制的に首を後ろに反らされ、聡一郎を睨み返しながら歯噛みした。


――08――


「第一種警戒態勢だ、ライフルの仕様を許可する。ライフル同士の戦闘を想定しろ、防弾装備はくれぐれも怠るな。当『事業』に関して、警察には不介入を確約させた。現場で遭遇する武装勢力は全員が『敵』だ。発見次第即時殺害を許可する!」

「「「了解」」」

山田ら『派遣社員』たちは濃紺の『作業服』に着替え、防弾ベストを装着。その上に装具をぶら下げる戦術タクティカルベストを重ね着し、戦術ベストの前後左右に追加装甲の防弾プレートを挿入した。着衣だけで信じがたいほどの重量であった。

「ウエッ、重過ぎ……こんなの着てたら、動きが鈍って撃たれちゃうよ」

野村が露骨に不快な顔で文句をぶつも、ライフルを見てパッと表情を変えた。

「うっわー、スッゲー!」

ピカピカの銃……ではない。それはグレーの焼き付け塗装に無数の傷が走る、余りに使い古された銃。口径7.62mm×39、旧チェコスロヴァキア製 Vz 58ライフル。

但しそれは、ハンドガードやストックを始め、あらゆる部品をFABディフェンス製の改修部品カスタムパーツに置換した、言わば近代化モダナイズドモデルであった。ストックは軸にバネを内蔵した反動緩衝装置リコイルダンパー付き。レシーバー後端のアルミ製カバーはピクティニーレールを兼ね、銃を構えて覗き込みやすい位置に、チューブ型のドットサイトが固定されている。

それは傷ついた鋼鉄のレシーバーから執念が滲み出る、冷酷なサイボーグだった。




「撃ちまくるなよ、野村。そいつはじゃじゃ馬だ、お前のようにな!」

「ハァーッ? まだ言ってんすか。いつもいつも一言多いんすよジジイ!」

長谷川と野村が火花を散らし、それを高橋と佐々木が苦笑して眺める。それを余所に林は黙々と、銃のボルトの稼働部に油を引き、作動を確認する。林の銃は彼の専用に改造カスタマイズされたもので、反動緩衝装置リコイルダンパーを持たないM4ストックには頬当てチークピースが追加され、ハンドガード下には垂直バーティカルグリップでなく傾斜アングルグリップが付けられていた。この方が良く当たるとは林の談だが、そんな些細なことを気にする者は他に誰もいなかった。林は特殊部隊上がりであり、自分が使う銃には特別うるさい男なのだった。

「まさか私も出ることになるとはなァ……とんだ貧乏くじだ、なァ?」

左近司は乗り気でない顔でライフルを点検しつつ、恨み節たっぷりに山田を見た。

「頭数が一人でも欲しい、という社長の命令ですからね。同情はしませんが」

山田は淡々と話しつつ、ボルトを引いて固定して、内部に異物が無いか確かめる。

「お前が持ってきた仕事だろう。死んだら化けて出てやるからな」

「幽霊などというものが存在するなら、どうぞご自由に」

ガシャッ! 山田の人差し指が延長型ホルトストップを押し、ボルトを前進させる。

山田はジトーッとした視線を察し、顔を上げた。野村が不快そうな顔で睨んでいた。

「大好きな左近司主任が私と話しているから、野村くんがお怒りですよ」

「黙れ。私は今、あいつに近寄りたくない。これから任務なんだぞ。わかるだろ」

「皆さん、時間がありません! 準備ができ次第、速やかに出撃を!」

「エッ……エーッ!? 嘘んッ!? 雨宮さんも出るんすか、マジで!?」

愕然として声を上げる野村に、作業服姿の雨宮は腕組みして胸を張って見せた。

「大マジです。人手が足りない以上、仕方ありません。何か問題でも?」


――09――


「不破。衛星の追跡によると、サンプルはアテナ薬品の本社にある可能性が高いわ。今のところ、外部の人間が出入りしてブツが動いた形跡は見られないわね」

「あっそ。やれやれ、また世界救っちまうのかねぇ、俺。上手く行ったら……」

「上手く行ったら、何?」

「やーめた。どうせ抱かせろつっても抱かれないもんね、黒川クロカワさんは」

「本気で好きなんだったら、考えなくもなくってよ……って、電話?」

「ああ。女に電話だ。真っ直ぐな性格でいい女さ。おパンツはまっ金々、お腹ん中はまっくろくろすけの黒川さんと違ってネェ~」

「下着の色は関係ないでしょッ! フン、今生の別れでも言うつもり?」

――切るな。久しぶりだな、百目鬼聖羅」




――ボルボ・S60 T6 ポールスターが、高速道路ハイウェイを銀の矢のように早く駆け抜ける。

不破は黒い戦闘服姿に身を包んで運転席に座る。助手席には、手塩にかけて改造した相棒のSG553Rカービンが、ストックを畳まれ横たわる。不破がアクセルを吹かせば

直列6気筒3000ccターボエンジンが唸り、猛烈なスピードで車を加速させる。

前方に車列。運転席に座る不破は唇を舐め、アクセルを放してブレーキングすると、走行車線と追い越し車線の間隙を巧みに縫って列の先頭へと這い出る。シフトダウンしてすかさずアクセル、再加速。遮る者の無くなった道路にターボの排気音が轟き、ポールスターは鞭打たれた奔馬がごとく底力で加速し続けた。パドルシフトを弾いて4速、5速、6速とシフトアップする度、排気音がぶつ切りになっては力強く吠えた。

「やれやれ、たまには命のかからない仕事がしてえ。正義の味方も辛いぜ」

不破は嘆息し、窓から高架道路の外に広がる田園地帯を眺めた。視界の遥か向こうに見えるなだらかな丘陵地帯、生い茂る木々と点在する川、その一際大きな流れの畔に聳え立つ、悪魔城めいた洋館。

「見えたぜ、あれがアテナ製薬か……趣味悪ッ!」

せせら笑う不破の眼前で、次のICまで残り3kmと記された緑の道路標識が、ボウッと流れて車の背後へと消えて行く。不破は左のパドルを弾いてシフトダウンした。




ポールスターは一般道に降り、田園地帯の対面通行道路を駆け抜け、悪魔城を遠くに隔てる入場ゲートへと滑り込むと、ディスクブレーキを鳴らして急停車した。

「……ん? 何だ? 誰も居ねえのか?」

無反応。詰所は静まり返っていて、誰も出てくる気配は無い。どころか、足止めする遮断機のポールすら、降りてはこなかった。明らかに普通ではない。

不破は本能的に嫌な予感を覚え、気持ちを急き立てられつつも運転席を降りた。

「……死んでやがる。一体誰の仕業だ」

詰所の操作盤の上に血が飛散し、床の上には守衛の死体が無造作に転がされていた。よく見れば、遮断機のポールも強引に圧し折られ、車道の脇に転がっている。

「嫌な予感がするぜ。こいつは……俺の他に先客が居るかも知れねぇな」

無精髭を湛えた不破の顔に、緊張と殺気が漲った。不破は車に乗り込み、走り出す。

小川を見下ろす丘の上、滑らかに整えられた石畳が、木々の間をうねりながら続いて悪魔城に誘う。石畳の中央だけは白い石が使われて、褐色と白色のグラデーションで対面通行の車線を表現する、中々に凝った造りだった。

「やれやれ、まるでおとぎの国の城だな。一体どんなお姫様が住んでいるやら」

噴水を放つ石造りの泉、それを取り巻くロータリーに車を走らせ、不破は悪魔城へと続く石段の前に、先客の足跡を見た。それは、2台の赤いマイクロバス!

ざっと20人は乗れそうなバスが、巨人の足跡めいてロータリーに放置されている!

「こいつァとんでもねえだ! やれやれ、骨が折れそうだな!」

不破は75連ドラムマガジンを銃に叩き込み、ボルトハンドルを引いて装填した!




不破 the Desperado VS 山田 the Killer

【第4話:蘇る悪夢】終わり

【第5話:殺し屋は悪魔城を目指す】に続く


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Written by 素浪汰 狩人 ~slaughtercult~


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