純文学とは何か

「カクヨムにおける不朽の名作」と一部で称されているこの作品。読み始めてすぐに、私はかつて読んだ数々の純文学の名作を読んでいるような気分になった。

言い換えれば、読者として手加減をするのを忘れてしまった。「素人が書いているとは思えない程素晴らしい・尊敬・羨望」ではなく、プロの作品を読むように読み手として真剣に対峙し、物語に入っていった。

勿論、物語の構成も見事で、心理・心情、情景描写もまるで自分がそこにいるかのように感じられる素晴らしい筆致である。

その上で、自分の魂を揺さぶられる。作者の人間に対する洞察力と深い愛情で描かれた登場人物の言動に一喜一憂してしまう。主人公の過酷な運命に何度泣かされたことか!

私にとって純文学とは、物語を通して人間を識り、作者の哲学や魂に触れることだ。
この恍惚感を得られるから純文学が好きだ。
まだ読まれていない方はぜひこの作品を通してその体験をしてほしい。

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