もう、おわるの?
暑かったね
遠い目をしてあなたは言う。
ゴロンと横を向いて私は
ベッドから降りて
キャミソールを
頭からかぶる
「おい、下」
そうだ、した、なにも履いてない。
「ふふふ、忘れてた」
「なにやってんだよ」
長く一緒にいると
そういうミスをしてしまう。
そうでもないか、それは作戦なのか。
もう、お尻を脚の境目が
よくわからなくなってきた。
部屋を横切り、窓の外を見る
暗闇のなか、私は山を見る。
「ねえ、今日もう帰るんでしょ」
「そうだな、この時間に出たら4時間もあれば
帰れると思う」
私のために、ここまで頑張って
車をかっ飛ばしてきてくれたのは
昨日の夜中だった。
一晩ずっと抱きしめあって眠った。
あなたの頭を僅かしかない胸において
ずっと撫でていた。
今日は外には出ずに、ずっと
重ねるからだだけを。
何も食べず、ただひたすらに
お互いを求める。
一つになれるこの幸せな
時間を一瞬も逃さぬように。
「なんか、食べる?」
「うん。もう注文したよ」
「なんだ、関西味のうどんを作ってくれよ」
「いいけど、卵とお揚げさんしかないよ」
「お揚げに、さんつけるんだな」
だから私のことはお前さんとよんでくれないか?
私はいつもそういうのに、
名前で呼ぶ。
美都子
みつ
もう食べられないよ。
今度はいつ食べてくれる?
私はあなたの車がくるまで待てそうもない。
「今度は新幹線でいくからね」
「ダメだよ、部屋、汚いから」
そういわれる理由を私は知っている、
けど、言わないのが、大人のルール。
暑かったな、今年も。
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