ひとりじゃない

擬態が上手な少女と、その少女と同じになりたい少女の詩的で不思議な話。
始めは青。そして海。次に白で、最後はオレンジ。
文に書かれている色使いが鮮やかかつ、「」付きの言葉で場面のイメージや空気が変わる不思議な話でした。
最後は恐らく行方不明になっていた少女が病院で保護されたというシーンなのでしょうが、多くが語られていないので読み手の想像で如何様にも背景が膨らみます。『擬態が完璧』というのも都会の人に紛れる事が上手いのか、それとも人では無い何かが人に紛れるのが上手い事なのか分かりませんが、それがとてもミステリアス。
ひとりじゃないという事であちら側へは行けなかった少女ですが、もしも両親が少女に無関心だったらどうなっていたんでしょう。擬態が下手なままあちら側へ行く事になるのでしょうか?行けなくて残念な感じがしましたが、それで良かったんだと思います。

後、個人的に一人称が『ぼく』の女の子が好きなのでその部分がとても良かったです。ミステリアスぼくっ娘いいですよね。