第15話 魔王カミヤVSキャットチーム

 勇者アオ達や、賢者グレン達は、馬にまたがり、颯爽と、南に向けて出発していった。わたし達は、いま、馬車で南に向かっている。

 

 

 わたし達も馬で出発しようとしたのだが、身長は2m超えるマスターが、馬にまたがると、馬が潰れたのだ。マスター体重どのくらいあるんだ?

 

 

 わたしが、馬を治療して、その馬は一命をとりとめ、無事出発することができたが、貸馬屋の親父の恐怖に歪む表情が忘れられない。

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、魔王カミヤ率いる魔物軍団は、フォズーガを突破し、内陸に向けて侵攻していた。が、それを魔物軍団と呼べるのかは、疑問であった。魔物達は、冒険者達や、軍の頑張り、そして、何より魔王カミヤの横暴によって、その数を大きく減らしていた。その数30匹?

 

 

「カミヤ様、数が少なくなってまいりました、一度ヨコファーメ島に戻り体勢を立て直してはいかがでしょうか?」


「うるせーんだよ、おめーはよー! だから負けんだよお前たち。俺がいれば勝てんだよ。雑魚が何匹いても所詮、雑魚は雑魚なんだよ!」



 魔王カミヤは、進言してきた魔物の幹部の顔を殴る。こうして、さらに数を減らしていく魔物軍団。その夜、我慢に我慢を重ねていた、魔物軍団の幹部が話し合いを始める。



「何なんだよ、あいつついて行けないぜ」


「確かにな、カナリア王国に攻めこんでから休みなしだぜ、今どき、週休2日は、魔物の世界でも当たり前なのに、それもないんだぜ」


「それよりも、残業手当出るのかな?」


「出るわけないだろ、大魔王様は、もっとケチだぜ」


「だったらさ、ここ辞めてどっか行くか」


「そうだな、ブラックで、パワハラしない魔王がどっかにいるかもしれないよな?」


「いや、それよりも、自分たちでやっていこうよ」


「そうだな、それがいい」




 こうして、魔王カミヤの周囲には誰もいなくなった。



 しかし、翌日魔王カミヤは平然と侵攻を再開した。



「邪魔なやついなくなって、良かったぜ! これで、のびのびと攻めれるぜ!」



 ただ、どことなくその顔は寂しそうだった。久しぶりに出来た一緒に行動してくれる、存在がいなくなったことが、予想外に、心に響いていた。



「キャットハウス行きてーなー!? 俺何言ってんだ? キャットハウス、なんか懐かしい響きだけど、なんだっけ?」








 魔王カミヤが、カナリア王国軍1万を1人で、蹴散らした翌日。勇者アオ、賢者グレンを筆頭とする、キャットチームが魔王カミヤの前に立った。



 勇者アオが、賢者グレンが、そして、魔術師ユナが叫ぶ!




「カミヤさん! あなたは僕の目標だった! 同じ勇者としてあなたを尊敬していた! だが、それもここまでです。人間に仇なす存在を許すわけにはいかない!」


「そうです! あなたは、チェリーシティーにもう一回連れてってくれると行った! なのにその約束は果たされていない! わたしは、いつまで待てば良いのか!」


「そうよ! 今日こそお前を合法的に殺れる! 覚悟しなさい!」


「うるせー、ちっちゃいくせに、お前なんか興味ねぇーんだよ!」


「ちっちゃい言うな!」




 こうして、激しい戦いが始まった。勇者アオが、騎士エスパーダが斬り込む。戦士タクが、戦士レッドがカミヤの動きを止めるために突っ込んでいく。魔術師ユナが、賢者グレンが魔法を放ち掩護する。そして、ミドリーヌも、精霊魔法で攻撃を加える。遠方から、狩人マスターゴトーの矢が飛んできて、カミヤの周囲に刺さり動きを封じる。




 しかし、カミヤの力は魔王になっても変わらなかった。15分ほどの戦いで、周囲は静かになった。



「なんだ、こいつら弱い癖に突っかかってきやがって!」



 周囲には、顔でか戦士1号、2号の頭が転がり。胴体は少し離れた場所に転がっていた。そして、勇者アオは動けないものの、倒れたままに、勇者を睨んでいた。



 遠くには半裸になって転がる、賢者グレン、魔術師ユナ、騎士エスパーダ、ミドリーヌがいた。そして、遠くからは、相変わらず狩人マスターゴトーの矢が飛んでくる。



 魔王カミヤが、その矢を素手で掴みつつ、そちらの方に向かって歩き始めた時、わたし達の馬車が到着した。



「なんじゃこれは!」



 マスターの声が響く!

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