『最弱』になった私は異世界で【神】を目指す! と、女神様に誓いました!

ルピス

第1話 転生の説明と死

「うん?」


 なんだろうか、ついさっきまで何かしていて、長い眠りから目が覚めた様な……

夢の途中で起きた時の感覚に近い。どんな夢を見ていたのか、思い出せそうで思い出せない妙な感覚だ。ついニ度寝してしまいたい気分になる。


「まだ夜みたいだし」


 何となく目を開けているつもりだが常に暗闇で、瞼を閉じても? 景色は変わらない?


「ん? あれ?」


(私の部屋ってこんなに暗かったかな? 電気設備全部切ってもベッドのすぐそこに壁があることくらい分かるしぃ…。)


「壁に手が届かない、手が………無い?」


(ちょっと待って、私は今さっき起きた、起きた、起きた…よね? まだ寝てて夢の中とか……)


「って言うか夢の中で二度寝したいとか私の睡眠欲凄いな!」


 と言う風に自分自身にツッコミを入れていた時、


『貴女はもぅ、永眠されてますよぉ?』


 私ではない鈴音の様なエコー掛かった声が聞こえた。案外ハッキリ聞こえるのに非常に眠くなるような口調で妙な事を急に言われ、動揺してしまう。


「え、永眠、ですか? まぁ確かに私の睡眠欲はかなりのものかも知れませんが、まだそんなに歳をとった覚えはありませんよ?」


『貴女が寿命で亡くなった訳ではありませんのでぇ、何かの病気で寝ている間にコロッと此方に来たみたいですよぉ?』


 病気といえば、最後に覚えているのが……背中に寒気がするから熱計ったら37,9℃で、よし! 学校休もう! とか言って布団にもぐりなおしたような……


(二度寝したら永遠に起きれなくなったわけ!?)


「うぅわぁ、幾ら一人暮らしでも病院くらい行ってよ、マジk……」


 等と文句を暫く言い続けて、ネガティブな気持ちになってしまう。自業自得だよね。うん。


『落着きましたかぁ?』


「あ、はい。すみません、落着きました。」


(わざわざ私の自己嫌悪タイムが終わるのを待ってくれたのか、この声さんは。死んでも他人を待たせるのか、私は……。)


 因みに私は学校の課題の提出期限を1、2日遅れて提出しに行き、溜息を付かれつつも一応提出物を受け取ってくれる先生の御心の広さに甘えていた人間でした。すみません!


『それd「あ!? 死んだ?! じゃあここ何処!? どう言う状況!?」……。』


 さっきまで話をしていても、あまり死んでしまった実感が湧いて来なかったのだが、今、置かれている状況について認識しつつあった。


『落着けましたか?』


(ハッ!? 急に寒気が!? 後、口調変わってる!? ヤバい、話し遮っちゃった……)


「申し訳ありません! 全然落ち着けてませんでしたぁああ!」


 兎に角ジャンピング土下座を決め込む勢いで謝ったが身体が無い事を再度認識してしまい、また動揺したが、口を紡ぐ。口無いけど。だいたい、一寸先は暗闇で何処に向けて謝れば良いのやら…


『それでは話しを始めますねぇ。』


(よし! 落ち着け! 落ち着いて話を聴け! 私!)


『この空間は貴女達の世界のぉ、………』


(うん。もう何か、眠くなってきたなぁ……永眠してるけど。)


 ここは死後の世界で異世界に転生するか、元の世界の輪廻に戻るか選ぶ為の空間らしい。まぁ、元の世界に戻っても元の自分を取り戻せる訳じゃないみたいだけど、異世界の転生を選ぶと人格、自我はそのままで、前世の名前や記憶の一部は無くなってしまうが、転生させてくれるらしい。


(正直、記憶とか無くして人格そのままとか意味がわからないけど……。今の自分(人格、自我など)がそのまま転生できるのかな? 深く考えても無駄か。うーん、異世界…異世界はどんな世界なのだろう? 直接聞くか。)


「あの、異世界とは私が元いた世界とどう違うのですか?」


『その質問には答えられないのですぅ。』


「え、えぇっと、その、異世界に転生すると虫や魚とかになったりはするのですか?」


『魂の質にぃ、見合った器(からだ)になりますよぉ。』


(魂の質? 魂に質が高いとか低いとかあるの?)


『何か思い違いをしているみたいなのでぇ、説明しますとぉ…』


 うん。まぁ、RPGのレベルの様なものって事は分かった。転生を繰り返す中での経験が魂の質に影響を及ぼすみたいだ。


 因みに今私が悩んでいる異世界に転生するかしないかは、ある程度、魂の質がある者のみ選択させるみたい。あと、魂の質にはSSS>SS>S>A>〜Gと言う階位の様な分け方があるみたい。


 そして、私の階位はDらしい。S〜Gまでは多種多様な生き物としてのからだに転生するみたいだけど、SSは半神に進化、SSSになると半神から神化するらしいです。


 つまり神! 存在してたんだぁ〜って思ってたら、眠くなる話し方の声さんは『私もその一柱ですよぉ?』って宣って下さいました。……数々の御無礼申し訳御座いませんでした!


 あと、私の思考も読まれてたんだね。そして私は悩んだ結果(そこまで悩んでいない…かも?)異世界に転生する事にしました! やっぱり、自我や人格? が残るのはポイント高いと思ったのですよ! 散々神様に色々説明をさせておいて判断した所がかなり始めの方の説明と言う……。うん。忘れよう。


『それでは異世界にぃ、転生させますねぇ。』


「あ! あの、1つお願いしても宜しいでしょうか?」


『どうぞぉ?』


「私、死にたくありません! なので、自分の自我、人格、意識などの精神的なものをそのままに転生させてください!」


『……』


 このお願いはこの先、転生して転生先で死んだときに、自分の記憶、人格や自我など【自分】を保ったまま次の転生先に行きたいというお願いである。しかも、回数制限なしのお願いである。


 ここでにとっての「生」と「死」についての考え方を伝える。


 彼女にとって「生」とは【自分】が世界に存在している状態のことをさす。「死」は【自分】が世界から消滅することをさしている。具体的に言うと自分の自我、人格、意識などなものが世界に存在していれば、彼女にとって生きているのであって、神から提案された記憶や自我など、今ある精神を消して魂を輪廻に戻されることは彼女にとって死を意味していた。


 はっきり言えば、心臓が止まろうと脳が機能を停止してしまっても、お化けとして【自分】を保ったまま枕元に出てくることができればにとって、生きていることになるのである。


 彼女は肉体的に死んで、この空間に来て状況をある程度理解したとき、肉体的に死んでも【自分】を保っている精神がこの空間に存在していることに内心驚いていた。肉体的な「死」は精神的な「死」でもあると前は思っていたからだ。


しかし今、肉体と精神は分離していて【自分】はまだこの空間で生きている。そして彼女は精神的にこれからも、ずっと生きていたい為、ダメ元で神様に自分が死なないように頼んだのである。


 そして彼女は神様が黙っている間に必死に、それはもう必死に「私はまだ生きています!」


「私は死にたくありません!」という趣旨の説得? を長々としているのであった。

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