003「5年前の話-3」

熱も下がり、体調も問題なしと判断され隔離部屋から解放されてから数日が経った。


この数日、俺はこの世界の情報を集めていた。


とはいえ、今の俺は7才のクソガキである。


情報を集めるにしても街を歩き回って誰かに話を聞いたり、今世のヴィルの記憶を頼るしかない。


それでも、集められるだけの情報を集めて整理してみたんだが…。


「何なんだろうな、この世界は…」


なんというか、歪というか典型的なファンタジーというか。


まず、太陽は1つ。そして月が3つある。月に関しては大きな月が2つ並んでいてその間に小さいのが1つ。


ちゃんと、3つとも満ち欠けするんだが天体図はどうなってんだ?


1日が何時間なのかは不明、時計がないので正確な時間がわからないのと陽が出たら朝、陽が高くなったら昼、陽が沈んだら夜ってくらいしかみんな気にしてないらしい。


日付けが変わるのは夜中らしいんだけど、これも各々の感覚で勝手に決めてるみたい。


1週間は7日でちゃんと曜日がある。闇・光・火・水・土・風・無だそうだ。


ちなみにこれはこの世界の属性が曜日になっているとか。


1ヶ月は30日。月の初めに創造の日がありそこから各属性の曜日が4周する。そして月の終りに終末の日がある。


創造→闇光火水土風無✖️4→終末で1ヶ月。


で、1年は12ヶ月。もちろん、それぞれの月にも意味があるらしいけど基本的に数字で呼ぶ。


例えば、今日だったら5の月・3の週・風の日になる。


ちなみに、驚くべきことに数字はアラビア数字だった。


桁も1が10集れば10、10が10集れば100と前世と同じ感じで増える。


過去にも転生者がいて広めたのだろうか?


まぁ、俺にとってはわかりやすいのでありがたい。


それでだ、問題はここから。


「…魔法ねぇ。あるんだ、流石は異世界だわ」


この世界には魔法がある。


魔法には属性があって、属性はさっきの曜日と同じで闇・光・火・水・土・風・無の7属性。


ちなみに、無属性ってのはその他らしい。無以外の属性に当てはまらない場合は無属性にされるという大雑把っぷり。


回復や治癒の魔法もあるそうだが、なんと各属性(無属性以外)に治癒魔法があり治癒属性はない。


闇の力を使って傷を癒すって想像出来ないんだが…あるんだから仕方ないらしい。


さて、魔法があるということは魔物もいるのがお約束であり当然いる。


普通に動物もいるのに魔物もいる。動物は魔物に駆逐されそうなんだが、この世界の生態系がどうなってるのかわからない。


魔物と動物の見分け方は基本的に魔石があるかどうからしく、心臓辺りに魔石と呼ばれる石があるらしい。


魔物による被害もあるのでそれに対処したりする冒険者もいるらしい。


冒険者もいるなら冒険者ギルドもある。


なんか、予想してた通りのファンタジーによくある冒険者ギルドみたい。


次に、この世界には人間以外の種族もいる。


人間種、うんわかる。


獣人種、ケモ耳やらケモ角やら尻尾がある人達。獣成分の割合もバラバラ。孤児院にも数人いる。


エルフ種、長命で森に住んでてオークに蹂躙されて薄い本にされる。最後は偏見だけど。


ドワーフ種、寸胴で男の人は髭で酒大好きで鍛冶してる。女の人はツルペタ合法ロリ。


魔族種、ふっはっは!下等生物の人間なぞ皆殺しだ!!と戦争仕掛けてくるイメージがあったけど実際には普通らしい。


あとは珍しい種族だと巨人やら天使やら悪魔やら龍人もいるらしい。


何でもありかよファンタジーめ…。


ちなみに、ファンタジーによく出てくるゴブリンやオークやオーガは魔石があるので魔物だがリザードマンは龍人種、鬼人は魔族種に含まれるそうだ。


天狗はいるのだろうか?羽があるから天使に含まれているのかも知れない。


最後に、この世界の文明について。


これが本当によくわからない。


一見すると中世から近世のヨーロッパっぽいテンプレファンタジー年代なんだが、すごいチグハグな感じ。


貴族や王族がいる、俺が住んでるこの国も王国でこの街も貴族が領主を務めている。


一般の民の識字率や計算力はそこまで低くはない。これは、教会が学校の役割を果たすことが多く教会がないような未開の辺境でもない限りはよっぽど字が読めて簡単な計算は出来る。


識字率や計算力がある程度あるのは筆記用具が庶民にも手が届く値段だからでもある。


同様に絵本だったり本なんかも決して安くはないが高くもないので普通に庶民にも出回っている。


これは宗教が違う場合がある他国も同様で、教会やそれに類する場所で学ぶらしい。


街並みや建物は日本人が昔のヨーロッパと聞いて思い浮かべてるような感じで高層ビルみたい建物はない。


これはこの街だけなのか世界中がこんな感じなのかは不明、王都や王宮はもっと立派らしい。


服装は千差万別、そりゃ様々な種族や階級がいるから仕方ない。


車や飛行機は当然ない、都市間などの移動や輸送は馬車や大人しい草食の魔物を使っている。


上下水道に似た設備はありトイレは水洗、風呂はある所にはあるらしいが孤児院にはない。


生活を支える道具の多くは魔石を加工して作った道具、魔道具で整備されている。


汚水は下水道に住んでる?スライムが浄化するらしい。


料理は割と普通、日本にいたときほどではないが調味料がある程度はあり孤児院は質素であるが飯マズだったり栄養失調になったりはしない程度には食べられる。


これは、この街の領主がまともってもあるらしいけど。


冷蔵庫みたいな物はあるが洗濯機はない。エアコンに近い物なら貴族や王族は持っていたりするらしい。


あと、武器や兵器に関して発展していない気がする。


基本的には剣とか魔法でなんとかしてる。


弓はあるけど、銃みたいなのはないらしい。この辺は魔法のせいなんだろうか?


なんというか、なんちゃってヨーロッパ風の剣も魔法もあれば魔物も出るような多種族ファンタジーだけど文明レベルは低くはないし前世の機器も再現出来ちゃう世界。


魔法があって魔物がいるから前世の世界とは違う発展をしているのはわかる。


ただ、なんか違和感がすごい。





本当に、なんでこんなに違和感を感じてしまうのか俺にもわからないんだけど。

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